葉山町内の一部地域にヤスデの集団発生が確認されており、町は事前対策を呼び掛けている。
「ヤンバルトサカヤスデ」という種類で台湾が原産。成体の体長は3〜3・5センチメートル。有機物が多い湿った場所に生息し、落ち葉などの分解に大きく寄与している。農作物に被害を与えたり、かみついたりするなど人体に影響を与えることはないが、大量発生すると、塀や壁を這い上がってくるなど不快感を与える不快害虫とされる。
日本では1983年に沖縄で初めて確認され、2003年11月に葉山町一色で大発生が報告された。しばらく小康状態になっていたが、2021年度に再び見られるようになった。
葉山しおさい博物館勤務の海洋生態学研究者で節足動物にも詳しい、倉持卓司さんは「葉山に入ってきた経緯は定かではないが、土壌に紛れて入ってきたのでは」と推測する。外来種で天敵である捕食者がいないため、集団発生につながったと考えられるという。
養生テープで対策
町はヤスデが集団発生した場合の対策として、壁面に養生テープなど滑りやすい材質の物を貼ることをあげる。滑ってヤスデが登れなくなり、家への侵入を防ぐことにもつながる。薬剤の使用については、ヤスデにだけ効くものがないため、他の生物や人体への影響も懸念され、さらに一時的な効果があっても耐性が生じて効きにくくなることもあり、推奨はしていない。燃やしたり、水で殺傷したりすると、シアン化合物の有害物質を出し、頭痛や吐き気をもよおすことがあるので注意が必要だ。箒などではたくと一時的に丸くなるので、集めてそのままごみ袋に入れ、日光に当てておくと、自ら分泌する毒で自滅する。死滅後、「燃やすごみ」として処分することができる。
町は事前対策として草刈りや落ち葉の除去などをこまめにし、暗く湿った場所を作らないようにと呼びかける。また、時期は未定だが、神奈川県の専門家派遣制度を利用し、町民向けにヤスデの生態や駆除方法を学ぶ勉強会の開催を検討しているという。
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