逗子市消防本部(行谷英雄消防長)は11月19日、ハイカーの多い二子山での滑落事故を想定し、横浜市消防局航空隊のヘリコプターと連携した救助訓練を行った。訓練を終えたばかりの同月24日には同山中で転倒して足を負傷した人の救助にヘリが出動し、早速訓練の成果を発揮した。
逗子消防本部がヘリコプターを使用した航空隊との連携訓練を行うのは5年ぶり。地上では逗子署から15人、横浜航空消防隊から3人、ヘリ隊は6人が参加した。
訓練は二子山内で20代男性の2人組が滑落、1人は自力で動けるが、もう1人は身動きができず、救助が必要という想定で行われた。南郷上ノ山公園からハイキングコースに入り、救助用の担架やロープなどを装備し、山道を1列になって行進。救助要請のあったポイントに近づくと名前を呼び掛けながら捜索した。要救助者を発見すると、名前、落ちた時の状況、けがの確認などをして、常に声をかけながら、崖から引き揚げるためにロープを木に巻きつけバスケット担架を準備。隊員同士で「集中」と声を掛け合いながら、しっかりロープなどの強度の確認をし、ハイキングコース上までけが人を引き揚げた。この間に横浜ヘリポートに出動要請が行われていた。
ピックアップは針の穴
崖から救出するとヘリのピックアップポイントに移動。山林の中でぽっかりと空が見える場所が何カ所かあり、あらかじめ航空隊とは情報共有ができているという。救出場所から近いポイントに到着すると発煙筒をたき、ヘリに居場所を知らせた。
ほどなくヘリが到着し、上空約30メートルでホバリング。ダウンウォッシュと呼ばれるヘリからの吹きおろしの強風で周囲の木が大きく揺れ、枝が折れたりするなか、道幅が1メートル強ほどの狭い場所にヘリから隊員がピンポイントで降下してきた。
ピックアップ訓練は2回。1回は担架で、もう1回は隊員が要救助者を抱える形で引き揚げ、訓練は終了した。
熊坂篤範消防次長は「傷病者を適切に救出するためには安全・確実・迅速はもちろん、ピックアップポイントの確認や木々の繁茂状況など、机上訓練では見えない部分を頭に入れることが重要。また、訓練を通じて平時から顔の見える関係を作っておくことが大切」と横浜航空消防隊との連携訓練の意義を強調した。
逗子市消防によると、過去5年の救助出場は40件から70件。その内、山林関係の救助件数は年間で8件から12件おきている。道迷いでの救助が多いが、2021年からは毎年1件、ヘリでの救助事案も発生している。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|