葉山町は2025年4月から南郷中学校区で施設分離型小中一貫教育を開始する。学習の流れをスムーズに進め、中学進学時に新たな環境になじめない「中一ギャップ」を引き起こさないように、9年間を前期(小1〜小4)、中期(小5〜中1)、後期(中2・3)の3つのステージと捉える。小中一貫の強みである「つながり」を生かして誰一人取り残すことのない学びの場を目指し、26年度からは葉山中学校区での開始も予定する。
対象は南郷中学校(同町長柄)と長柄小学校(同)の生徒児童と、葉山小学校(堀内)の堀内地区の一部の児童。
カリキュラムは各教科と関連した総合的な学習の時間で9年間をつなぎ、「自ら考えて行動する力」を探究的な学びで育む。英語教育では小1から外国語を母国語とする指導助手と接点を持つことで、外国の人・文化への興味を伸ばし、後期には英語を活用した自己表現やプレゼンテーション力の習得を目指す。探究活動では農家の協力を得て野菜を種から育てたり、車いす体験などで障害者の生活を知り、その問題解決を考えたりすることで、教科横断的な視点を持って学習を進める。生活面では「施設分離型」の間は校舎はそのまま使用し、校名や校歌、校則、中学校の標準服などに変わりはない。
町は先行きの見通しが難しく、社会や経済が縮小する時代を生き抜く子どもたちに「自分で考え、スキルを生かして行動できる力」をつけるために、20年度から小中一貫教育の検討を重ねてきた。PTAの会議などを通し、1000人以上の町民と対話を行い、浸透が図れたとし、25年度から開始する。
教育委員会の担当者によれば、施設一体型に向けては今年度中に基本計画をまとめる予定だという。今後、設計・建設には7、8年はかかる見込み。「よりよい教育を早くという思いもある一方で、今できることを積み重ねていこうというのが分離型の考え。施設ができた時に、新しい時代の葉山の教育をつくれたら」と展望を語った。
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