「逗子観光推進の会」会長を務める 山内 弘之さん 逗子市小坪在住 75歳
玄関口でおもてなし
○…駅前で佇む人がいる。バスの時刻表の前で戸惑っているところを見ると、どうやら停留所が分からないらしい。そこへ青白の帽子にジャンパーを羽織った年配の男性が歩みよっていく。「○○○なら○番だよ。ほらそこ」。安堵の表情を浮かべると「助かりました」と言って駅を発っていく。週2、3日、駅頭に立ち、駅利用客らに道案内や観光案内をする「逗子観光推進の会」。現在会員は25人。会としての活動ははや8年になる。
○…逗子駅は市外からの人が訪れる玄関口。活動の根底には、来訪者にちょっとした「おもてなし」をすることで「また来たいまち」という印象づけを図る狙いがある。地味な活動ながら「きっとあとあと効いてくる」という様を「ボディブローみたいなもんですな」と例える。単純な道案内からバスの利用案内、季節に合ったとっておきの観光スポット紹介もお手のもの。「逗子海岸に披露山公園、史跡が好きなら…」と引き出しは多彩だ。夏季シーズンはことに忙しく昨夏はほぼ毎日駅前に立ったが「逗子の観光推進の一翼を担っている自負がある」。そんな思いが活動を支える。
○…今でこそ観光情報に精通する自身もかつては”逗子都民”。勤めていた時は地元のことなど「まるっきり」で始めは恥もかいた。鐙摺漁港そばの結婚式場を尋ねられても答えられず「そんなことも知らないのか」と言われたこともある。「でもその繰り返しで覚えていく。プロじゃ許されませんけどね」といたずらっぽく笑う。知識の積み重ねで地域に愛着も湧いていく。退職した今、それが面白い。
○…活動存続のためにも会員の拡大が目下の課題。「地域のことを知りたい人はぜひご一緒に」と呼びかける。駅立ち以外に地域の景勝地をめぐるガイドツアーも年数回開催。春には鎌倉の世界遺産認定をにらんだ史跡めぐりツアーも企画中だ。観光推進への一手を模索しながら、駅前に立つ日々。やりがいはひとしおだ。
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