葉山町で数年前から相次ぐイノシシによる農作物被害に歯止めをかけようと、地元農家らを中心とする捕獲隊がこのほど立ち上がった。町からの委任を受け、わな猟免許を取得したメンバーを含む約20人が活動を展開。すでに捕獲実績をあげているものの、駆除は一筋縄ではいかず、隊員らの気をもむ状況が続いている。
上山口・長柄で被害
「ここの藪がイノシシの通り道になっている形跡があったのでわなを仕掛けたが、それ以来痕跡がない。臆病で、用心深いんです」。8日、上山口地区をパトロールしていた隊員の一人はもどかしそうに話す。この日は5人のメンバーが国の交付金を受けて購入した鉄製の箱わなやくくりわなの状況を確認するなどした。
7月に結成された「葉山町鳥獣被害対策実施隊」によると農作物の被害が出たのは3年ほど前から。出没の経緯は不明だが、上山口や長柄地区を中心に度々農地が荒らされるようになった。「中にはじゃがいもや水稲の畑が一夜で全滅させられるケースもあった」と隊長の石井喜三郎さんは説明する。イノシシは雑食性で木の実や野菜を食べるほか、地中の虫や植物の根を求めて土を掘り返すなどの被害を出す。県の調査では2015年度葉山町のイノシシによる農作物被害は0・7トン、約23万円。ただ県に届け出がされないこともあるため、実際の被害はさらに大きいとみられる。
同隊の主な活動は▽田畑回りの雑草を刈り取り、イノシシが隠れる場所をなくす▽金網や電気柵で侵入を防ぐ▽獣道などにわなを仕掛け捕獲する、の主に3つ。3地区に分かれて週に2度合同パトロールを実施するほか、個別でも毎日見て回る。石井さんらは以前から被害対策を行っており、昨年は7頭、今年はすでに4頭を捕獲したとう。ただ正確な生息数が不明な上、イノシシは1度に4〜5頭子どもを産むため繁殖力が強い。同隊では少なくとも双子山周辺を中心に30頭程度が生息するとみており、石井さんは「一気に駆除するのは難しいかもしれないが、少しでも個体数が増えないように根気よく続けていくしかない」と話した。
町が注意喚起
イノシシが頻繁に出没すると人への被害が発生する恐れがあるため、町は農作物の被害防止のほか、山へ入る際の注意を呼び掛けている。対策としては▽遭遇しても近寄らずにゆっくり後ずさりする▽食べ物に寄ってきた場合は身体から放し、その場を離れる▽絶対に追い回さない、など。
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