小坪漁業協同組合(大竹清司組合長)と逗子市は漁業者の所得向上と小坪漁港のにぎわい醸成を目的とする海上タクシー運航に向け、実証実験を開始した。利用者の声を聞きながら、課題点などを見直し、2024年中の実現を目指す。
実証実験は11月3日、12日、18日(土)の3日間、漁業活動をしていない時間帯を有効利用する形で実施。小坪漁港から渚マリーナ桟橋(田越川河口)までの片道ルート(約10分〜15分)と、漁港から逗子湾・名島周辺をめぐり、漁港に戻る遊覧ルート(約30分)の2航路で行っている。
実施初日、遊覧ルートに記者も同乗した。漁師が普段の漁で使用する漁船に、ライフジャケットを装着して乗船。船により定員は4人から5人で、乗り合いのみ。
漁港を出発し、時速約10Kmで湾内を進むが、水面に近いので体感スピードはより速く感じる。当日は天候が良かったこともあり、海上にはSUP、ウインドサーフィン、ヨット、手漕ぎボートなどのマリンスポーツを楽しむ人や、ボートから釣り糸を垂らす人などが見られた。
途中、船長から「水深2〜3mの所は海の底が見えるが海藻類は生えていない。以前はサザエが取れたが、今はほとんど取れない」と「磯焼け」の実情が聞かされた。
やがて船は葉山沖へ。空気が澄んだ日は、通称・裕次郎灯台(葉山灯台)、名島の鳥居、江の島、富士山が一直線に並んで見えるという。この日は天気は晴れたがかすみ、富士山は見えなかった。
同乗した中川正治さん(55)、夏子さん(37)は「思ったほど揺れず、楽しかった。海から見る陸も新鮮。また富士山が見える日に乗ってみたい」と約30分の船旅を楽しんだ。
あす18日(土)が実証実験の最終日。乗船料金は、片道ルートが1人1000円、遊覧ルートが1人2000円。運行時間は午前10時、10時40分、11時20分、午後1時、1時40分、2時20分。
深刻な漁獲量
海上タクシーの取り組みについて、同組合の嶋六三さんは「魚が取れなくて収入が減れば漁師離れがすすむ。副収入を得ることで道を開くことが一番大きな目的」と語る。そのうえで、「市民や観光客の皆さんに楽しんでいただければ」と期待を寄せる。現在、7隻の船が参加に手を挙げている。
市経済観光課によれば、小坪漁港の昨年の漁獲量は約70t。10年前は約200tだったという。
問い合わせ、乗船予約は経済観光課【電話】046・873・1111(内線280、281)
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