パリ五輪のセーリング競技で日本人初のレースマネジメントを務めた 内田 伸一さん 葉山町堀内在住 53歳
ヨットとともに生きる
○…逗子開成中高の教諭で、ヨット部顧問として勤務しながら、先月まで行われていたパリ五輪のセーリング競技で日本人初の運営スタッフを務めた。特別な大会で任命されたことを「ヨット人生の中でも名誉なこと」と胸を張る。一方で、「学校や関係者の方の理解があってこそできたこと」と感謝も忘れない。
○…「自信を持てない自分を変えたい」と、厳しくて有名だったヨット部に入部するために、逗子開成高校に入学。「これが人生の中で一番いい選択だった」と言い切る。海の上は想定外のことばかり。一人でどうにかしないと陸には戻れない。「自分でやり遂げる力がついた」とヨットからの学びを力説する。「ヨットの素晴らしさを子どもたちに伝える」ために教師になった。これまでの部の教え子は約200人を数える。「五輪の時にイタリアのミラノから会いに来てくれた子がいてうれしかった」と顔をほころばせた。
○…生徒たちに指導しながら今も現役を続ける。フランスから帰国してすぐ、和歌山県でのインターハイに帯同。翌週には32年連続出場となる全日本選手権で鳥取県まで遠征した。2020年には全日本選手権で教え子とペアを組み、準優勝も果たした。「体力が続く限り挑戦したい。もし予選で落ちたら、運営に回って恩返しする」とヨットからは離れられそうにない。
○…10月末にはアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われる世界選手権が控える。4回目の出場となる今回は高校1年の長男とペアを組む。「僕の中では最高のステージ。これまで3回は自分のために出たけど、今回は父として、憧れのステージを息子に見せたかった」と熱く語る。また一つセーラーとしての夢がかなう。
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