遠藤の田園地帯の一角に国家戦略特区を活用した「農家レストラン」が誕生した。農地での出店を緩和する特例措置を受けての開業で、同様の事例は全国で6番目、関東では初となる。地産地消の新たな拠点として、地元の新鮮な野菜や畜産品をふんだんに使った料理を提供していくその名も「農家レストラン いぶき」――。
「やっと、やっと、やっと、このレストランができた」。19日、開店に先立って行われた式典で、店を運営する(株)いぶき社長の冨田改さん(72)は喜びをかみしめた。
店舗は木造平屋建てで、約120平方メートル。慶應大学湘南キャンパスのほど近くにある。ビュッフェ形式で、新鮮な地場野菜や畜産品を始め、麹や醤(ひしお)といった発酵調味料を使った健康志向の料理が売りだ。店内には寒川町の築300年の古民家の柱や梁(はり)を利用するなどし、内観にもこだわった。
本来、農地での店舗開業は認められていないが、特区の「地域農畜産物利用促進事業」を活用。提供する料理の50%以上が地産食材を使用することなどが定められている。
3年ほど前、制度を知った冨田さんが「遠藤の豊かな自然を守りながら、地域と農業の活性化につなげたい」と発案。16年2月には運営母体の農業法人を立ち上げ、準備を進めてきた。開設までは紆余曲折の道のりだったが、地元行政や金融機関からの後押しもあり、ようやく実現にこぎつけた。
この日は齋藤健農相や黒岩祐治県知事、鈴木恒夫藤沢市長、横浜銀行の川村健一頭取ら関係者100人余りが出席。齋藤農相が「生産者が消費者の反応をじかに感じることができ、地域の交流の場にもなる」と祝辞を述べるなど、新たな門出を祝った。
地域活性化のモデルに
レストランのほど近くには、冨田さんが理事長を務めるNPO法人が3年前に開園させた山野草園「藤沢えびね・やまゆり園」がある。自然を通じて地域の魅力を創出しようと毎年整備を続け、今では年間4千人前後が訪れるという。冨田さんは「園を散策してレストランで食事を楽しんだり、遠藤の魅力を体感してほしい。地域と農業を活性化させる、新たなモデルになれば」と話した。
同店の営業は午前11時から午後5時(夜は要予約で6〜9時30分)。年末年始休業。問い合わせは同店【電話】0466・86・7602へ。
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