旧東海道藤沢宿にある国の登録有形文化財の「関次商店の穀物蔵」(本町4の5の20)がこのほど、ベーカリーカフェに生まれ変わった。市は藤沢宿エリアを「街なみ継承地区」に指定しており、同地区に店舗を開業するための補助金を活用した初の事例となった。
明治の穀物蔵に新たな命が吹きこまれた。ドアを開けると、焼き立てのパンの香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
蔵は1886(明治19)年造。2016年には国の登録有形文化財に指定されている。
先月23日に「関次商店 パンの蔵 風土」をオープンさせたのは、埼玉県出身で市内在住の岩田和憲さん(33)。都内の店などで腕を磨き、妻の佳奈さん(32)とオーガニック小麦や天然酵母を使ったパンを提供。店内にはイートインも設けており、飲み物と共に店内で食べることもできる。
開業のきっかけは蔵を所有する関野静一さん(82)と出会って。土蔵はすでに穀物蔵としての役目を終えており、「店舗として利用してもらえれば、地域の人が蔵に足を運ぶきっかけにもなる」と開業を目指していた岩田さんの思いと重なった。
折しも、市は歴史や文化が集積した景観を守ろうと、遊行寺を中心とした旧東海道藤沢宿周辺を街なみ継承地区に指定。さらに同エリアでの商業の活性化を目的に、店舗を構える際には改装工事費(上限200万円)と2年間の賃貸料の3分の2を補助している。こうした制度上の支援も開業の後押しになった。
地域の協力得て
店内は廃材を利用し、蔵の梁や土壁は活かしながら板張りの床などに改装し、温かみのある雰囲気に。塗装は藤沢宿の研究をしていた日本大学生物資源科学部の学生らの協力を得たほか、テーブルや椅子も地域住民の協力で手作りした。岩田さんは「地域の協力もあってオープンすることができた。次は自分の作るパンで藤沢宿を盛り上げたい」、関野さんは「一時は蔵を取り壊すことも考えた。新たな命を吹き込んでもらえてうれしい」と話した。
午前8時から午後3時(売り切れ次第終了)。月・火曜定休。問い合わせは岩田さん【携帯電話】090・2147・6314へ。
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