「聴覚障害者との架け橋に」
大好きな落語を、耳の不自由な人にも楽しんでもらいたい――。
そんな思いから、手話で落語を披露する「手話落語」に励んでいる女性がいる。葛原在住の川上増美さん(65)。4月、本職だった手話通訳者から”転身”したアマチュア噺家だ。駆け出しながら落語仲間も一目置く存在で、「芸を通じて健常者とろう者の架け橋になれたら」と話している。
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「親指は男で小指は女、両方立てるとカップルや夫婦。実際の夫婦も、この位つかず離れずの方がちょうどいいんでございますね」
20日、渡内の「地域ささえあいセンターきらり」で催された寄席。地域住民らに得意の手話を交えながら一席を披露する川上さんの姿があった。
元々大の落語好き。市の非常勤職員として勤めていたときから年に5、6度、時間を見つけては横浜などに足を運んだ。
きっかけは昨年4月、稲荷の高齢者施設で活動する落語サークル「やすらぎ落語塾」に参加して。周囲の誘いもあり、せっかくなら長年仕事で培った手話の技術を生かそうと、手話落語を始めることを思いついた。
ただ一口に言っても形にするのは案外難しい。例えば言葉の洒落はそのまま手話にしても面白味が伝わらず、聴覚障害者向けに一から作り直す必要があるからだ。
それに芸を覚えるのも一苦労。「年だから覚えた矢先から忘れちゃう。脳みそが”ところてん”になってますから」と茶目っ気たっぷりに笑う。
昨秋初めて高座にあがり、この日は3度目。やすらぎ落語塾総領で、3年前から同センターで寄席を主宰している南部忠恭さん(77)は「障害者との向き合い方は社会課題のひとつ。芸にも熱心で見込みがあると思う」と話す。
9月には聴覚障害のある人を対象にした寄席も控える。「まずは自分の芸で耳の不自由な人に笑ってもらいたい。最終的には人情話も手話落語でできたら」とほほ笑んだ。
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