新型コロナウイルスをきっかけに働き方や生活様式が変容する中、地域経済も回復に向けた模索が続いている。果たして”処方せん”はあるのか。各業種や団体関係者に話を聞いた。
――日中の通いなどを中心に、泊まりや訪問など利用者に合わせた介護事業所を運営されています。コロナ禍での対応は。
「スタッフの手洗いや定期的な換気。事業所として徹底しているのはその程度です。緊急事態宣言下で小規模多機能居宅介護施設の『おたがいさん』については人数を半分程度に制限しましたが、解除後はすぐに通常体制に戻しました」
――その理由は。
「まず前提として考えなければいけないのは、高齢者はコロナに限らず、様々な危険にさらされているハイリスク者ということ。高齢者の死因で最も多いのは肺炎で、今年1月から半年の間に全国で11万人が亡くなりました。また毎年インフルエンザや事故で亡くなる人の数も、コロナの比ではありません。特に肺炎や骨折の原因は低栄養に起因する『フレイル』(虚弱)がほとんど。日常生活を過度に制限することが、かえってリスクを高めかねないからです」
――緊急事態宣言の前後で利用者の方に変化はありましたか。
「歩けなくなった人が増え、認知症が進行した人もみられました。介護によるご家族のストレスなどから症状が悪化してしまったケースです。コロナ禍で自粛をして、高齢者の命を危険から守る。そのこと自体に異論はありません。ですが、ちょっとした外出やおしゃべりも制限すれば、QOL(生活の質)は落ち、別のリスクが付いて回る。誰のためのリスク管理なのか、介護従事者を含めて問われていると思います」
――介護のあり方そのものへの影響はどうでしょう。
「今回わずか数週間の自粛生活でもストレスを感じた人はたくさんいたはず。認知症の人は確かに短期の記憶を維持するのは難しい。でも、意思もあれば感情もある。高齢者をはじめとした要介護者が『不自由を強いられることがこんなにも辛いんだ』と気が付く機会になったのではないでしょうか」
――介護業界全体の展望は。
「飲食店がテイクアウトなどに取り組んだのと同様、業態自体も変わってくると思います。例えば不特定多数が一カ所に集まるようなデイサービスは縮小していくかもしれない。一方で、介護職に関しては新しい働き方が生まれてくるかもしれません。介護保険によらず、フリーランスが個人宅で介護サービスを提供するという発想です。将来的に『ギルド』(特定技能集団)のような枠組みが作れないか、構想しています」
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