市内を拠点に、ダウン症や自閉症など知的障害のある子どもたちに「学びと体験の場」を提供しているNPO法人ドリームエナジープロジェクト。毎週末に歌や踊り、演劇、美術などの講座を実施し、一人ひとりの「可能性」に着目。演劇公演や音楽コンサートなどを開催することで、それぞれの魅力を発信する。「社会が持つ知的障害に対するイメージを少しでも良くしよう」。同団体は願いを込める。
「感受性が豊かで、表現力のある子がたくさん。彼らの独特な表現はとても魅力的」。8月2日、横浜市磯子区で行われた演技の講座後、理事長の内海智子さんはこう話した。
この日は、映画「もののけ姫」の主題歌を、気持ちを込めて表現する演技の練習。映画を鑑賞し、ストーリーや登場人物の心理をつかんだ後、歌詞を一文ずつ読解し、登場人物になりきった。
内海さんの息子でダウン症の隼吾さん(26)。歌や踊りが大好きで、主題歌を歌う場面では、手を広げ、大きく口を開けて、全身を使って表現する。レッスン後は「みんなで歌って楽しかった」とにっこり。他の受講者も皆、達成感ある表情を浮かべていた。
同団体は、2016年から「21番目の素敵な出逢い」と題した舞台公演を開催している。ダウン症のある子たちが、歌や演奏、オリジナル脚本の演劇を披露。練習を重ねてきた出演者が、一生懸命に表現し、いきいきとしている姿が、見る人の感動と共感を呼んでいる。「上手に見せようとか、うまく繕うということはせず、心のままに歌い、演奏する。様々な困難を抱えながらも、表現することが好きという気持ちがあふれている」と内海さん。「一人ひとりの個性を理解して、できない面を探すのではなく、『伸びる可能性』というプラスの面を見つけていきたい」と話す。
18年からは音楽をメインにコンサートを開催。ダウン症と自閉症、障害を越え、プロの演奏家らとも共演する。「みんなに披露し評価されることで、その子の自信と成長にもつながる」。今年はコロナ禍でオンラインの配信。カメラに向かって各自がメッセージを届ける。あるひとりの女の子は「いつも周りの人に助けてもらっているので、今度は自分が助けたい」と呼び掛けていた。
内海さんは「私たちは共生社会の”入り口”のような存在。彼らの魅力を多くの人に知ってもらいたい」と話した。
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