JR東海道線藤沢駅─大船駅間で設置に向け協議が進んでいた「村岡新駅(仮称)」について、県と藤沢市、鎌倉市、JR東日本の4者は8日、設置に関する覚書を締結した。事業費負担などを含め、4者が最終的な新駅設置に合意した。JR東日本によると、開業は2032年頃。設置にめどがついたことで、村岡・深沢両地区のまちづくりも今後一気に加速しそうだ。
市の負担 約41億円を想定
「合意は3県市のこれまでの取り組みが結実したもの。村岡、深沢地区のまちづくり実現の大きな一歩になる」
同日、オンラインで行われた締結式で黒岩祐治県知事は新駅設置の意義を強調した。鈴木恒夫藤沢市長も「長年懸案だった新駅実現に向けた歴史的な一歩」と歓迎した。
設置位置は藤沢駅から約2Km、大船駅から約2・6Kmの市内宮前付近。かつて旧国鉄湘南貨物駅があった場所で現在周辺では村岡地区(8・6ha)と鎌倉市深沢地区(31・1ha)で一体的なまちづくりが進む。
新駅設置を巡っては、2018年12月に3県市が基本合意。翌19年1月に3首長がJR東日本の深澤祐二社長を訪れ、同社に一部費用負担を求める「戦略的新駅」の設置を要望していた。
事業費については同社が概略設計で約150億円と算出。県が30%、藤沢と鎌倉両市がそれぞれ27・5%、同社が15%を負担する。藤沢市の費用負担分は41億2500万円程度になる計算だ。
県などによると、今後21年度内に4者が基本協定を締結し、22年度以降、1〜2年かけて詳細設計を実施。約8年の施工期間を経て、32年頃の開業を見込む。
「市政に影響ない額」
新駅設置について市はこれまで、具体的な費用負担が明らかになってから最終判断するとして慎重な姿勢を示していた。少子高齢化対応に加え、新型コロナの影響などで市の財政状況は悪化。昨年9月には藤沢市、JR東日本、小田急電鉄の3者が進めている、藤沢駅南北自由通路拡幅事業の詳細設計は「財源確保が不透明」として1年先送りにしていた。
覚書締結後、記者会見した鈴木市長は費用負担について「(約41億円を)1年間で負担するわけではなく、市政に影響する金額ではない。藤沢駅の整備も平行して進めていく」と述べた。市は費用の一部を国の交付金を活用したい考え。
一方、新駅設置は市民団体が財政負担などを理由に中止を求める署名を市に提出するなど反対意見もある。鈴木市長は「(設置が)将来良かったと思ってもらえるよう、納得できる説明に努めていく」とした。
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