辻堂の「湘南ホスピタル」で、植物の葉、果皮、樹皮などから抽出したアロマオイル(植物の天然精油)を使ったケアが導入されている。通常の医療・医薬品では対応できない様々なケースに、病院単位でアロマを活用する例は珍しい。
導入のきっかけは、15年ほど前、同院の入院中の女性が皮膚のかゆみを訴えて。原因は病気ではなく高齢による皮膚の乾きで、通常の医薬品では状態が変わらなかった。
そこで事情を知った現在薬剤科長の佐藤玲子さん(60)がアロマを活用してはどうかと提案。友人がインストラクター資格を取得し、自らも学んでいた経緯があった。
医師と看護師に相談した上でオリーブ油とアロマオイル、水を合わせたローションを作り、皮膚に塗ると患者は落ち着いた様子になったという。その後、看護師やスタッフから他の患者にも使いたいと相談され、病院としてアロマを取り入れることになった。
仕組み作りを徹底
病院では、高齢者の緩和医療や終末期医療などにチームで取り組む機会が多い。現場では、病巣部からの臭いや口臭も困りごとの一つという。佐藤さんはハッカやユーカリ、レモンなどのアロマオイルでスプレーを作り院内の空気中に噴霧したり、ハッカ入りの重曹水を活用。不眠や緩和ケア、環境改善などにも役立てているという。
「アロマを使用する上で、安全・安心が一番大切」と佐藤さん。同病院では、アロマは薬剤師が医薬品と同様に購入・管理すること、必ず主治医の了解を得ること、使用患者への説明と同意の署名の依頼など仕組み作りを徹底している。また、自身も(一社)日本アロマセラピー学会の会員として研究を続けている。「アロマは医療機関でも患者さんやご家族が穏やかな時間を過ごす一助になる可能性がある。学び続けながら、質の向上や問題解決へ薬剤師としてサポートしていきたい」
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