藤沢市は4月1日から産後ケア事業に着手した。産後の母親の心身を支えるため、助産院などで行うデイサービス事業の利用料を一部助成。今年度は150人ほどの利用を想定し、約160万を当初予算に計上した。コロナ禍で里帰り出産や遠方親族の支援が受けにくく、孤立しやすい母子の心身をサポートする。
「母乳の出が心配で」。不安げに尋ねる女性は「マッサージしましょうか」という助産師の朗らかな返答に、ほっとした表情を見せた。
11日、藤沢市の産後ケアを受け入れる齋藤助産院(茅ヶ崎市芹沢)。生後3カ月の男児を抱いた30代女性は「市外から引っ越してきて知り合いもおらず、不安で」と初めて産後ケアを利用した。窓の外に視線を向け、「コロナ禍もあり季節を楽しむ余裕もなかった」と振り返る。
藤沢市の産後ケアは短期デイサービス型。利用の2週間前までにインターネットなどから申し込む。1回の総額5000円のうち市が一部を補助。住民税非課税・生活保護世帯は500円、それ以外は1500円で利用できる。対象は市民で家族らからの産後支援が受けられず、体調不良や育児不安がある人。概ね生後4カ月までの母子を対象としている。
正午から午後3時までの3時間で、助産師による母子心身ケアと、温かい昼食をとるほか、母親同士、気兼ねなくおしゃべりを楽しむ。
同院院長で藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町の助産師団体「湘南助産師会」会長の齋藤弓子さんは「産後特有の女性の心身の変化は大きい。張り詰めた精神をほぐす時間が必要」と話す。「湘南は移住者も多くニーズが高い」とも。同院ではコロナ禍以降、産後ケア利用者(自費)は例年の倍以上になっているという。
核家族化による孤立母子の増加や「産後うつ」などの認知が広まる中、厚生労働省は2019年に母子保健法を一部改正。産後ケアの強化方針を受け、市も取り組みを進めてきた。ただ、実施条件を満たせる産婦人科が少なく、出産取り扱い助産院もゼロ。調整に難航していたところ、昨年同会が発足したことを機に、地域で連携し、今年度から事業を開始できることになった。
市健康づくり課は今後、宿泊型や訪問型など事業の拡大を目指し、関係各所へできる形での協力を呼び掛けるという。
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