東京五輪出場権を獲得した都筑有夢路さん(写真はいずれも昨年8月、高知県で/父、久美雄さん提供)
鵠沼の海を拠点に活動してきた20歳が快挙だ。鵠沼海岸出身の都筑有夢路(あむろ)さんが5日、エルサルバドルで開かれたサーフィンの東京五輪世界最終予選を兼ねたワールドゲームズで9位に入り、五輪出場権を獲得した。本大会に向けては本紙の独自取材に「五輪出場を決めることができてうれしい。必ず金メダルを獲りにいく」と意気込みを語った。
負けた時点で五輪への道が途絶える、綱渡りのような試合を繰り返しくぐり抜けた。
2回戦で敗退し、リパチャージ(敗者復活)にまわるも、2回戦5組・3回戦3組をともに1位通過。4回戦から7回戦は出場した組全てで2位通過で臨みをつなぎ、8回戦に進出した。
土壇場の8回戦1組では終盤、力強いターンに3回成功。計8・36点をマークし、3位で敗退したが、全体で9位が確定した。
今大会では上位7選手に五輪出場権を付与。上位9選手にすでに出場権を持つ選手などが含まれていたため、実質7位以上が確定し、圏内に滑り込んだ。各国・地域の最大出場枠は2で、ハワイ出身の前田マヒナさんも出場権を獲得した。
ギリギリの勝負を戦い抜き、つかみ取った五輪への切符。大会を振り返り、「予選は調子を上げられないままだったが、五輪出場を決めることができて大変うれしい」と声を弾ませる。
ひと月半後に迫った五輪に向けては「よく練習している志田下(釣ヶ崎海岸)が会場なので、必ず金メダルを獲りにいきます」と意気込んだ。
地元祝福「鵠沼の誇り」
決して順風満帆の道のりではなかった。サーフィンを始めたのは小学4年生頃。ジュニアで活躍していた兄、百斗さん(22)に憧れ、鵠沼海岸にある自宅から毎日海に通い詰めた。良い波を求めて海外を拠点にする同世代の選手が少なくない中、地元を拠点に練習を続けた。アマ時代にはタイトルにも恵まれず、伸び悩んだ時期もある。
15歳でプロ転向。2017年から世界を転戦して実績を積み、19年には18歳以下の世界一を決める「ワールドジュニアチャンピオンシップ」で初優勝の快挙を達成した。4月からは現行の制度下では日本女子選手初となる、世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に参戦。現在18位につけている。
父、久美雄さん(46)は「CTで必死だったはず。準備不足や疲れなどコンディションが悪い中、何とか滑り込んでくれた。本当にうれしい」と娘の快挙を喜ぶ。
藤沢サーフィン協会会長で自らも40年以上サーフィン歴がある藤沢市議会の佐賀和樹議長(48)は、幼少の頃から鵠沼の海でサーフィンに励む都筑さんを見てきた。
「鵠沼の波は小さいと言われるが、バリエーション豊富。様々なコンディションでも対応できる技術力は鵠沼の練習での賜物ではないか」と説明。「本当に努力していた。鵠沼ローカルにとって誇りだ。地元の子が鵠沼から世界を目指せるというメッセージにもなる」とエールを送った。