相模湾でシラスの不漁が続いている。県水産技術センター(三浦市)が現在までに集計している3月の推定漁獲量は約7トンで、過去5年間最低の水準。10年間では2番目に低い。名産の湘南シラスが満足に提供できない状況に、藤沢の漁業者や飲食店関係者も気をもんでいる。
「3月の禁漁明けからずっと悪い。例年の1割にも満たない」
7日、浜野水産=片瀬海岸=の船頭・浜野展行さん(34)はこう漏らした。この日は2週間ぶりに20kgが獲れたが前日、前々日はゼロ。多くても2〜5kgの日が続き「船を出すと燃料費で赤字の日も」と肩を落とす。
直売所には十数パックの生シラスを並べるが、釜揚げシラスの商品棚は空。大釜で茹でるほどの量がないためで、釜揚げできたのは今季10日にも満たないという。
県内のシラス漁の期間は3月11日から12月末。同センターの標本船(東部・横須賀、中部・鎌倉、西部・平塚)の調査をもとにした、今年3月の県内の推定漁獲量は7トン。昨年同月は37トン、過去5年間の同月平均は27トンで、いずれも大きく下回る。
「大磯から茅ヶ崎も低調で藤沢、鎌倉、特に逗子、三浦エリアは深刻」と同センター。原因は不明というが、一般論と前置きした上で「春シラスは黒潮に乗って湾外から回ってくる。何らかの原因で黒潮がシラスを相模湾に運んでこなかったのでは」と推測する。
飲食店も「心苦しい」
「シラスを目当てに訪れる方に満足な量を提供できないのは心苦しい」。江の島など市内で4店舗を構える飲食店「とびっちょ」の広報担当・砂川裕也さん(37)は話す。漁獲量の影響を受けやすいが、来客数自体がコロナ禍で例年の7割程度に減少しているため、全く提供できない日は少ないという。それでも生シラスをふんだんに使ったメニューをオーダーストップにするなど制限をかける日もある。
同センターが5月に調査船「江の島丸」で実施した調査によると、夏シラスとなる相模湾のカタクチイワシの卵の採取数は、昨年同時期の71・3倍、過去5年平均の13・1倍だった。「今後は相模湾生まれのシラスが増えていけば、漁獲量も改善するのでは」と期待している。
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