県立湘南高校(鵠沼神明)卒業生で、2010年にノーベル化学賞を受賞した米・パデュー大名誉特別教授の根岸英一さんが6日、米国インディアナ州の病院で死去した。85歳だった。生前は偉業を成しつつも気さくな人柄で愛され、同校の卒業生からは惜しむ声が相次いだ。
根岸さんは炭素と炭素をつなぐ「クロスカップリング反応」の研究で、化学反応を促す触媒に金属のパラジウム、結合の目印に亜鉛を選ぶ「根岸カップリング」を発見。医薬品や農薬、液晶などの製造に役立つ効率的な合成方法を編み出した。2010年には日本政府から文化勲章を贈られ、文化功労者にもなった。
市立大和中学、湘南高校で同級生だった、元大和市議会議長の石川公弘さん(87)は訃報を受け、「近年体調が良くないとは聞いていたが、大変なショックを受けている。仲間の誰からも愛された、同級生の誇りだった」と悼んだ。
気さくな人柄愛され
関係者への取材を通じて浮かぶのは、周囲から愛された根岸さんの人柄だ。石川さんは「非常に優秀だが、利口ぶらなず、誰に対しても優しい。ノーベル賞をとってからもそれは変わらなかった」と振り返る。歌も好きで、同窓会などでは合唱部で磨いた自慢の美声を披露したという。
17年に湘南高校の海外研修に協力した際は、パデュー大で特別講師として在校生に講義。その後は参加した約40人を自宅のパーティーに招き、「君は何がしたいのかな」など一人ひとりに声をかけて回ったという。
「そのエピソードだけでも根岸先生の人間性の素晴らしさが分かる」と同校OBでもある池辺直孝校長(57)。「湘南生にとっては英雄のような存在。足跡は今後も入学してくる生徒に素晴らしい影響を与え続けると思う」と功績を称えた。
10年10月にノーベル賞受賞が決まった翌11月、母校で行った記念講演では夢を持ち続けることの大切さや海外に出ることの意義を説いた。自らもその言葉を体現した人生だった。
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