水を守ることは、私たちの命を守ること。目先の便利さに捉われず、考えて、選んで――。環境や、人体を含む生物への影響からせっけん使用を推奨している藤沢市せっけん推進協議会が今年、活動発足から40周年を迎えた。6月には会報誌「せっけん推進だより」も50号を迎え、「水は命の源」とする活動にさらに力が入る。
「水面がちゃんと見える」。11日、境川を覗き込んだ手塚弘子会長(80)はそう言ってほほ笑んだ。
1981年に活動を立ち上げた発起人の一人だ。会発足当時の川を「常にどぶのような異臭がして、水面には洗剤による消えないあぶく。洗剤容器のゴミすら浮いていました」と振り返りつつ「あれが当たり前と思っていました」。
考えが変わったのは、合成洗剤を入れた水の中で金魚がおぼれ死んでしまう実験を見てからだ。自宅の台所にある製品と同じだったことにショックを受け調べたところ、合成洗剤の環境負荷などを知った。
同じ思いの仲間と「合成洗剤追放のための直接請求実行委員会」を立ち上げ、1980年に署名を市に提出。葉山峻元市長の意見書と市議会決議文を受け、1981年に市の呼び掛けで現在の組織として発足した。
以来、リーフレットの発行や講演会、「せっけんまつり」といったイベント開催などで、せっけん使用を訴え続ける。メンバーのほとんどは主婦。企業や関連団体の後援を受けながら草の根活動に徹する。
1986年には学校給食施設で使われる洗剤が、全てせっけんに切り替わった。「結局、どちらを選ぶかはそれぞれの意志。藤沢の環境のため、大切な人の命を守るため、知って、考えて、選択してほしい」と手塚会長は発足当初から繰り返し訴えている。
「これが第一歩」
市環境保全課によると、微生物が有機物を分解するときに必要な酸素量を示す「生物化学的酸素要求量(BOD)」は、1981年時点で、当時の環境基準値8に対し、境川橋(境川)11、富士見橋(引地川)が7・8だった。2019年時点で、境川橋は2・6、富士見橋は2・7まで改善されている。
排水規制の見直しなどを1966年から行ってきた、藤沢市など流域自治体による「境川・引地川水系水質浄化等促進協議会」は環境が改善したとして2016年に解散した。しかし、マイクロプラスチックなど水環境問題は尽きない。手塚会長は「私たちにとって今が第一歩。せっけんが未来の藤沢を守ると信じて」と力を込めた。
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