施設の老朽化に伴い、藤沢市が2019年10月から移転工事を進めてきた辻堂市民センター・公民館(辻堂西海岸2丁目)が完成し、10日から供用が始まった。市公共施設再整備方針に基づき、消防出張所や地域包括支援センターなど、元々個別だった他施設の機能を集約。また津波避難ビルとして、災害時への備えにも重点を置いた新施設に生まれ変わった。
建物は鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積は約5170平方メートル。総工費は約29億円。
基本コンセプトは「防災」「交流」「福祉」。辻堂東海岸にあった以前の建物は築43年が経ち老朽化が進んでいたことに加え、施設の手狭さやバリアフリー対応などに課題があった。
1階はこれまでの行政サービスを行う事務室、市民図書室に加え、辻堂西いきいきサポートセンター(地域包括支援センター)、西南部障がい者地域相談支援センター、辻堂地区ボランティアセンターが移転入居。入口近くには市民が憩える交流スペースも設けた。
2階には談話室やアトリエ、調理室、和室、保育室、災害時には一時避難場所として利用できる体育室、3階には定員150人のホールと音楽室を備える。
建物は津波避難ビルに指定されており、屋外から階上に避難できる外部スロープを設置。車いす利用者らの避難や物資の運搬を念頭に置いた。また施設内に複数の避難経路を作り、津波避難への対応に重点を置いた。
同センターの移転に伴い、市は用地として県職員住宅のあった県有地を取得。南側の旧市道と高浜中のテニスコートを一体的に整備した。
住民の声反映
同センターの再整備を巡って、市は15年6月に地区の関係団体や市から成る同センター・公民館建設検討委員会を設置。地域住民を交えながら意見交換を重ねてきた。
辻堂地区自治会町内会連絡協議会で、同会委員長を務めた松本喜夫さん(80)は新施設について「設計段階から主体的に地域住民が携わってきた。紆余曲折はあったが、住民の声を反映した施設になったと思う」と評価する。
また辻堂地区防災協議会会長で都市防災の専門家でもある小川雄二郎さん(77)は整備に伴う防災機能の拡充を訴えてきた。「辻堂地区は津波が一番の災害リスクであり、津波防災上の機能に重点を置いた施設整備のモデルになる。広域的な災害が起きたときの拠点にもなる」と話した。
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