「障害者スポーツは誰もが当事者になり得る」と話すのは、市内在住で日本卓球療法協会副理事の隈元英孝さん(59)。卓球による障害者や高齢者らの心身活性に取り組んでおり「誰もが取り組める『ユニバーサルスポーツ』という考え方が広がっているように、公的な存在として障害者スポーツに取り組む施設や自治体がもっと増えてほしい」と呼び掛ける。
卓球プレーによる身体回復や脳の活性化に注目し、高齢者や病後回復、身体障害者のリハビリとしての活用に取り組む隈元さん。学生時に卓球に打ち込んだ経験を生かし、自身が勤める介護施設のレクリエーションに卓球を取り入れた。同じく療法としての卓球の可能性を見出した卓球好きの医師らと協力し、2014年に同会を発足した。
パラリンピックの起源が、医師が始めた怪我人のリハビリのためのアーチェリー大会であったことに触れ「身体機能回復、向上としての障害者スポーツの可能性は高い」と期待を寄せる。
現在、全国の障害者・高齢者施設などでリハビリを兼ねたレクリエーションとしての卓球を推進。車椅子使用や五感機能など参加者の状態に合わせながら、ルールや道具を調整する。
「リハビリは楽なことではないが、大会で勝ちたい人、競技で交流を深めたい人、それぞれの『出来る』という喜びの積み重ねがその活力を生む」とほほ笑む。ケガをし片手麻痺を負ったが卓球療法を通じ、症状が改善した人もいるという。
ユニバーサルスポーツの視点から公共施設で障害者スポーツに取り組む一例が湘南台公民館。開館から約30年に渡り開放事業として、視覚障害者向けの卓球「サウンドテーブルテニス」に取り組む。コロナ禍で規模を縮小しているが、多い時でキャンセル待ちになることもある人気事業だ。
音を頼りに球を転がすように打ち合う。競技中は声援はなく、ネットの下を行き交う鉛玉の入った球の転がる小さな音、ラケットで打ち返す硬い音、選手の息遣い、靴のなる音だけが響く。勝敗が決まると一転、明るい歓声が沸き立つ。
参加者の1人、70代の女性は50代で視力を失った。「当初は歩行すら大変で引きこもりがちに。周囲の紹介で競技を知り、初めて打てた喜びは忘れられない。少しずつ上手くなって、多くの人と出会えて、今の生き甲斐」と声を弾ませた。
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