鵠沼神明在住の葉山茂英さん(70)がこのほど、「考古学からみた秤」の研究で、古希の節目に博士号を取得した。原始時代から中世までに使われた、重さを計量する「はかり」や「重り」について研究を重ね、130頁の論文にまとめた。葉山さんは「苦労もあったが、若い頃からやりたいと思っていたことを実現できて良かった」と話した。
葉山さんは、中学生の頃から考古学に興味をもち、地元の厚木高校では歴史研究部に所属し、発掘調査にもよく出掛けていた。研究者としての道を歩むことも考えたが、就職先や商いをしている家業のことなど将来を見据え、大学は商学部へ進学。その後、高校の日本史の教員として24年間勤めた。
退職後も両親の介護が約10年続き、区切りが着いたのは60歳の時。「自分へのご褒美を」と考古学界で著名な北條芳隆教授を慕って東海大学大学院の史学専攻に入学。若い頃からずっと気になっていた、子ノ神遺跡の発掘調査で出てきた垂直を見るための道具「錘球」が「錘球ではなく、おもりだったのではないか」という疑問を解消すべく、弥生時代から古代、中世で使われたはかりと重りを研究テーマに掲げた。
「弥生時代のはかりの研究をやっている人は日本で数人。古代・中世になるとほとんどいない」と葉山さん。そんな前例がない中、「解明されていないことを少しでも明らかにしたい」という気持ちを原動力に数万冊の文献や発掘調査の報告書を読み漁り、時代や地域によって原料や形が変わるはかりと重りの変遷をまとめ、政治や経済、交易などと絡めて論じた。葉山さんは「これからいくらでも広げられる分野。まだ入り口をノックしただけ」と話した。探求心はまだ尽きないようだ。
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