藤沢市教育委員会はこのほど、市立小中学校に通う児童生徒に配布されている学習用タブレット端末を通じて教員にいじめなどの相談ができる「市子ども相談フォーム」を導入した。1月末までを試行期間とし、課題を整理検証した上で近く本格運用を目指す。児童生徒がSOSを発信しやすい環境を整備し、早期対応や防止を図るのが狙いだ。
市教委によると、端末には担任やクラスメイトとネット上で学習ができる機能が備わっており、この一部に専用フォームを設置。質問に沿って回答していくと、自分の今の気持ちを伝えた上で、教員やスクールカウンセラーなど相談相手を選択できる。
友人が嫌なことをされていることを伝えたいときは匿名での通報も可能。市の窓口に相談を希望する場合は、市が開設する専用メールや電話を案内する。端末は持ち帰ることもでき、付与される個人アカウントを使用すれば、個人のパソコンやスマートフォンなどからでもアクセスできる。
相談があった場合、学校側は返信はせず、児童生徒の気持ちを配慮した上で直接声をかけ、相談の場を調整。通報があった場合には情報をもとに対応を検討する。
端末配布は国が教育現場のICT化を推進する「GIGAスクール構想」の一環。市は2020年度までに市立小中学校全児童生徒分の端末を整備した。
端末を介したいじめ防止の取り組みは全国的にも珍しいといい、市教育指導課では「ツールが増えることで子どもたちの声を拾う機会も増える。一つ一つ改善に役立てていく」と話す。
相談は学校生活に限定せず、家庭の悩みなども受け付ける。そのほか市いじめ相談メールや市いじめ相談ホットライン(【電話】0466・25・2500)もある。
認知件数減もSNS対応課題
市教委が昨年4月に全市立小中学校の児童生徒を対象に実施した調査で、20年度のいじめ認知件数は小学校で642件(前年比35件減)、中学校は123件(同8件減)。過去3年間では2年続けて微減した。
態様別(複数回答可)では、「冷やかし・悪口など」が340件で最多。次いで「仲間はずれ・集団による無視」が136件、「軽い暴力」が123件だった。
認知件数が減少傾向にあることについて、市教育指導課は「一概には言えないが、コロナ禍で学校生活のあり方が変わり、人間関係にも一定の変化を与えた可能性はある」とみる。
一方、近年SNSを介したいじめや嫌がらせが増加傾向にあるといい、市教委が昨年6〜9月に実施した別のアンケート調査では「パソコンやスマートフォンで嫌なことをされた」と答えた児童生徒が460人いた。
インターネットやスマートフォンを使う機会が日常化し、今後も同様のケースが増加する可能性がある。市教委では「SNSの適切使用など情報モラル教育の一層の推進を図るとともに、保護者に対しても家庭での指導についての啓発に努めていく」としている。
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