コロナ禍でインバウンド(訪日観光客)が激減して打撃を受けた江の島で、市観光協会などがポストコロナを見据え、「歴史」を切り口にした誘客策を模索している。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で中世の歴史にまつわるスポットに関心が集まる中、第一弾として初の観光ガイドツアーを実施。観光ニーズを探りながら、全市域への回遊にもつなげたい考えだ。
「北条家紋の『三つ鱗』はかつて北条時政が岩屋で子孫繁栄を願った際、3枚の龍のうろこが残された伝承に由来するもの。江島神社の社紋が基になっています」
12日、江の島で開催された歴史ガイドツアー。江島神社中津宮で神職のこぼれ話に参加者らが興味深そうに聞き入った。
この日は江の島・藤沢ガイドクラブのメンバーが一行を案内。島の成り立ちや史実、大河ドラマにひもづく秘話を紹介するなどした。
夫婦で参加した鵠沼石上在住の50代男性は「普段は意識しないが、興味深い歴史がたくさんあり面白い。多くの人が知れば賑わいに結びつくのでは」と話す。
観光客の動態変化
新型コロナウイルスの感染拡大により、観光客の動態は大きく変化。藤沢市が一昨年3〜7月に実施した実証実験によると、従来のインバウンド需要は激減。一方で約7割が東京都と県内から来訪していることが分かり、近場の観光を楽しむ「マイクロツーリズム化」が鮮明になった。
コロナ禍で変化した人流や客層に対応するため、新たな誘客策が必要に。そこで着目したのが、古来信仰を集めてきた江の島の歴史だった。
「風光明媚な江の島は従来、景観が目玉だったが、歴史を付加価値とすることで観光地としての『重み』が出せる。年配者だけでなく、若者にも訴求できるはず」
発案した市観光協会会長の湯浅裕一さんは狙いを説明する。島内には「江嶋縁起絵巻」(市指定重要文化財)や、源頼朝が寄進したとの伝承が残る石鳥居、生物学者・モース博士の記念碑、2度の五輪モニュメントなど中世から近代にかけての歴史を伝えるものが散在する。こうしたものをつなげ、新たな観光資源として掘り起こしを図りたい考えだ。
ツアーは5月以降、第2弾も企画しているといい、湯浅さんは「将来的には定期化し、おもてなし体制を整えていきたい」と意気込んだ。
|
|
<PR>
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>