障害者福祉サービスを手掛ける社会福祉法人光友会(獺郷)で、ワイン造りに向けたブドウ栽培が始まった。
19日には植樹祭を実施。同法人の五十嵐紀子理事長は「ゆくゆくワイナリーを作り、獺(かわうそ)の郷から、メイヴの郷と呼ばれるようにしたい」と期待を語った。
育てるブドウは昨年新品種だとわかった藤沢産の「メイヴ」。寒暖や害虫に強く、育てやすい品種だ。今回、同法人では200本を植えた。
メイヴを育て、全国で普及活動をしている(株)ショーナンの田中利忠代表によると「ワインとしては720ミリリットル瓶1000本のブドウが収穫できる数。ワイン製造時期は、順調に生育環境が整い、醸造準備が整ったとして3年後くらい」と話す。
きっかけは田中代表との「ほんの偶然の出会い」と同法人の五十嵐紀子理事長。施設近くを散歩している中、畑でメイヴを育てている田中さんに声をかけ、存在を知ったことだった。
すでに栃木県には障害者の就労支援としてワインを作っている施設がある。また、そのワインが沖縄サミットをはじめ、海外の要人の「おもてなし」として使われるなど国内外から高い評価を得ている。このことを知っていた五十嵐理事長は、「いずれは」と心に秘めていたという。育てやすくまた地元産というメイヴとの出会いに「夢を持ち続けることは大切」と五十嵐理事長は語る。
社会課題解決にも期待
成功している栃木県の施設のようにワイン造りを手掛けたいと考える一方、「この新規事業は、施設の課題、そして農業の課題の解決にもつながる」と五十嵐理事長。
現在、同法人が障害者の自立支援として運営する作業所はコロナ禍もあり業績が悪化。障害福祉事業の継続のため、施設利用者の工賃アップに向け事業力の強化が課題となっていた。
ワイン造りが本格化すれば、すでに手掛けるパン製造やレストラン事業と連携させ、ワインと一緒に楽しむパンや新メニューの提供など新たな販路が開拓できる。
また印刷業務を手掛ける作業所では、ワインラベルなど新たな仕事が生まれるなど収益源が確保できるという。さらに、ラベルには「点字翻訳の技術も生かせる」と五十嵐理事長は力を込める。
農業課題では、畑を辞めてしまい放置される荒廃農地対策にもなる。「以前から農福連携でお世話になっている農業委員会に協力いただき、荒廃農地を借りて、畑を広げていきたい」とし、事業の拡大で、荒廃農地が減る好循環が生まれるという。五十嵐理事長は「地域活性の一助にもなる事業。ぜひ成功させたい」と意気込んだ。
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