藤沢市はこのほど、認知症などによる行方不明者の早期発見に向け、市内を巡回するごみ収集車を活用する取り組みをスタートさせた。家族などが同意した場合、警察から情報提供を受け、職員らが戸別収集の業務と並行して捜索にあたる。県内では初の取り組みといい、同様の仕組みを不審者の発見や犯罪の抑止にも役立てる。
先月10日、市と藤沢署、藤沢北署の3者が行方不明者と不審者情報の活用に関する覚書を締結した。
両署などによると、2021年(10月現在)の市内行方不明者は206件で、およそ半数が高齢者だった。認知症で行方が分からなくなるケースがほとんどといい、市や両署が対策に向けて協議を進めてきた。
これまで家族が同意した場合、防災行政無線で周知を行っていたが、昨年度の利用は14件にとどまる。そこで市などは、家庭系ごみの戸別収集のため、ほぼ毎日約100台が走行するごみ収集車に着目。市内をくまなく巡回する利点を生かし、行方不明者を早期発見する「目」として活用することにした。
不審者情報も
具体的には、行方不明者の家族が警察署に捜索願とともに「個人情報提供同意書」を提出した場合、収集車を管轄する市環境事業センターにファクスで情報を提供。これを受けた同センターが無線を通じて各車両の職員に行方不明になった日付や場所、年齢や性別、服装や身体的特徴などを共有する。
発見した場合には氏名と住所を確認した上で、同センターに連絡。緊急性が高い場合には直接警察署や救急に連絡するほか、一時保護も担う。
また不審者情報についても防犯対策システムのメールを活用して通達。警察と市内を走るごみ収集車が情報共有していることを広く周知することで、犯罪の抑止にもつなげる。
市地域共生社会推進室では「行方不明になることは本人、家族ともに心理的負担が大きい。早期発見の環境を整えることで負担を軽減し、地域一体での地域共生社会の実現につなげていきたい」と話した。
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