藤沢市消防局は4月から1台で大容量の送水と排水の2つの機能を兼ね備える「遠距離送・排水システム車」を全国で初めて導入した。火災時に海や河川から水をくみ上げて遠方まで送水したり、ゲリラ豪雨による浸水場所からの排水が可能で、近年頻発化する災害からの被害軽減を図る。市は「消防力を強化し、市民の安全を守る」としている。
海や河川、自然水利活用
同車両はいすゞ製で全長8m、全幅2・5m、全高3・5m。総重量15tで乗車定員は3人。車両価格は約1億6500万円。
送水機能は、最大毎分3500リットルで、最長1Km先への送水が可能。従来のポンプ車は毎分2000リットル、水槽付きポンプ車は2800リットルでいずれの放水能力も上回る。
地震による断水などで消火栓や防火水槽が使用不可能、または水利不足になった場合に、市内にある川や海水の自然水利を活用し送水できる。分岐して複数カ所に放水することも可能という。
市消防局によると、一般消防車が1Km先に送水する場合、4、5台を中継する必要があり、25人程度の人員が必要だった。1台で遠距離の送水が可能になることで人員や時間の効率化も図ることができる。
市は南側が海に面しており、南北に境川と引地川が流れる。同局によるとこれらの水利を活用することでほぼ全てのエリアを網羅できるという。
排水機能については、最大毎分1万5千リットルの排水が可能。25mプールを約20分程度で空にできる能力を有しており、台風や集中豪雨などによる住宅地の浸水や冠水した道路から大量に排水することができる。これまで市内に排水ポンプ車は配備されていなかった。
先月27日に行われた記者会見で、鈴木恒夫市長は「大規模地震に伴う消火栓の断水や消防水利の不足、激甚化、頻発化する台風やゲリラ豪雨への対策強化は不可欠。あらゆる災害から市民の安全を守るため、消防力の充実を図っていきたい」と述べた。
同車両は市の中心部で、救助隊と消防隊の両方を配置している南消防署に配備されている。
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