過去二度の不審火に見舞われた著名米国人建築家の自邸「旧モーガン邸」(大鋸)を再建しようと、市民団体らが今春から募金活動を本格化させている。企業団体、個人から募り目標金額は1億3千万円。20年以上活動してきた関係者は「活動にようやく光が見えてきた。歴史・文化的に貴重な建物を再建し、市民にも活用できる場にしたい」と話す。
旧モーガン邸は、大正から昭和初期に活躍した米国人建築家、J・H・モーガンが設計。JR東京駅前の旧丸ビルの建築で1920年に来日し、横浜の山手111番館など全国で40ほどの建築を手掛けた。自邸は妻、石井たまのさんと暮らすために31年に建築した。敷地は約6600平方メートル、建物は200平方メートル。
モーガンが68歳で亡くなった後は、何人かの手に渡った後、整理回収機構が管理。その後土地の分譲の話が持ち上がったことを受け、99年、市民らが「建築家の自邸だけでなく、湘南地区の住宅史的、文化史的にも価値がある」として「旧モーガン邸を守る会」(後にNPO法人化)を発足。保存に向け、署名運動や敷地の草刈りを行った。
活動が実り、2005年8月、(公財)日本ナショナルトラスト(JNT)が建物と土地の一部を、藤沢市が残りの土地を両者総額2億2千万円で取得。復元改修後の一般公開が待たれたが、07年、08年に火災が発生。本棟増築部分と別棟が消失し、玄関や暖炉、床、地下室などが残った。
市民交流施設に
21年3月、歴史的建造物の保存活用を行う(公社)横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ・YHG)がJNTから無償で引き継ぎ事業執行責任者となり、守る会、学識経験者の3者による「再建委員会」で施設計画を継続して協議。昨夏から、YHG、守る会、藤沢市の3者からなる「再建活用検討会」も定期的に開いている。
計画では、建物を再建し市民交流文化活動、福祉活動を行う公益施設を整備。22年に基本計画、23年施設設計、25年再建工事を経て26年頃開設を目指すとしている。
庭園で募金コンサートや利活用に向けた一般公開、イベントを継続している「守る会」の代表・徳重淳子さんは「継続した活動にやっと実る兆しが見えてきた」、YHG常務理事・事務局長の米山淳一さんは「市民の皆さんと手を携えて再建を目指す」と話す。
寄付は個人5千円(一口)、団体企業等10万円(一口)で受け付け、寄付者の名前は再建後の建物内に掲示予定。問い合わせはYHG【電話】045・651・1730。
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