かつて鵠沼にあった旅館「東屋」に逗留するなど、藤沢にもゆかりが深い芥川龍之介(1892-1927)が残した自筆の手帳を筑波大学の大学院生、章瑋(しょうい)さん(32)が復元し、製本化した資料を市に寄贈した。
復元されたのは、芥川が新聞記者時代に残した複数の手帳のうち「手帳六」。縦14cm×横6・5cmで、原本は市文書館に保管されている。
手帳六には、芥川が1921年に中国を旅したときの自筆メモが残る。甥の葛巻義敏氏が管理していたが、68年に自宅が火災になった際、一部が欠損。同氏の死後は市内在住で妹の左登子氏が受け継ぎ、96年に手帳六を含む約3千点の資料が市に寄贈された。
章さんは中国出身で、芥川を研究。市や同館の許可を得た上で、ばらばらになった手帳をページごとに撮影し、本来の順序に製本した。インクがにじんだり、欠損した部分はパソコンの色調調整や、『芥川龍之介全集』(岩波書店)で既存の研究資料と照合し、可読できるように整えた。
復元の過程では、これまでに明らかになっていなかった心理学者、フロイトに関する記述や、中国の文壇や要人の名前なども記されていた。章さんは「芥川は中国でも注目されており、研究や近代史の資料として実を結ぶことを期待したい」と話した。寄贈書は同館市民資料室で閲覧できる。
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