4月に全面改修した藤沢駅北口地下通路で6月下旬からベンチなど一部施設が「衛生管理上の理由」から閉鎖される状況が続いている。市によると路上生活者が一部を占有し、衛生上の問題が発生したことが原因というが、20日現在も再開の目途は立っていない。市は通路の利活用を通じて駅周辺の活性化を見込んでいただけに、現状との板挟みに頭を抱えている。
「人が利用できる状況ではなく、再開の見込みはたっていない」
広場を管理する市藤沢駅周辺地区整備担当は現状をそう明かす。
同担当によると、路上生活者の一人が4月中旬からベンチに荷物を置き、占有する状況が続いていた。市民から「悪臭や排せつ行為があった」などの苦情が市にメールや文書で6月末までに計21件寄せられたといい、電話での問い合わせも相次いだ。
路上生活者はその後体調を崩し、救急搬送。市は通報を受けて6月24日に清掃消毒を行った上で多目的ベンチを閉鎖。その数日後には映像を映すデジタルサイネージも停止した。
イベント活用進まず
地下通路は老朽化に伴い、今年4月にリニューアル。従来の薄暗い印象を刷新するデザインに作り変え、新たに多目的ベンチや案内誘導サインも設けた。
広場は2021年4月に施行された市の条例に基づき、上階のペデストリアンデッキ(サンパール広場)とともにイベント開催などが可能な「広場」に位置付ける。ところが3月末に完成式典が行われて以来、イベントなどは行われておらず、担当者は「本来は市民を始め活用していただくために整備したものなので、(一時閉鎖は)苦肉の策」と困惑する。
現在も広場利用自体は市の委託を受ける(一社)藤沢駅周辺地区エリアマネジメントが受け付けており、問い合わせがあった際には「状況を説明した上で、イベント時はカラーコーンを外す」という。
「人権配慮」ジレンマも
一連の状況は、一方で路上生活者への対応という社会課題も浮かび上がらせる。
「一番のネックは、ご本人が希望していないなら無理に説得できないということ」
個人情報に関わるため、個別案件の詳細は明かせないと前置きした上で、市生活援護課職員は路上生活者への声掛けについてこう説明する。
市民から市への通報を受けた際、現場には施設管理者と同課職員が行き現状を把握。無料宿泊施設や生活保護といった制度の説明を行うが、基本的には「人権に配慮し、支援を望まない場合も本人の意思を尊重せざるを得ない」という。
市では今後、広場の状況を確認しながら、施設の再開時期を判断するとしている。
厚生労働省が実施する「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、今年1月時点で藤沢市内では9人が把握されている。
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