情報通信技術(ICT)やデジタル技術を活用し、業務の省力化や効率化を図る「介護のICT化」に注目が集まる中、藤沢市は今年度、民間企業と連携した実証実験を実施している。業務の課題点を洗い出し、改善に必要な要素を抽出。機器の導入を補助する県の制度を活用し、検証までを行う。市は一連の流れをパッケージ化し、来年度以降本格運用する考え。
少子高齢化による介護需要の高まりや人手不足が全国的な課題となる中、期待が集まるのが介護ロボットやデジタル技術の活用だ。例えば寝ている人の呼吸や心拍、体動などを測る介護用見守りセンサーは、現場の一部業務を省力化できる。
こうした技術開発や導入を推進しようと、国や県は補助金制度などを創設。藤沢市でも2021年に策定した「いきいき長寿プラン」の中で、介護現場の支援の柱の一つに「介護ロボット・ICTの活用」を据えた。
市介護保険課によると、介護事業所への聞き取りで、デジタル技術への期待が高い一方、「導入方法が分からない」という声が寄せられた。また、介護ロボットを導入したものの、活用し切れなかったケースも多かったという。
分析と検証強化
同課は「活用難の理由の一つは、事前の業務分析や、導入後の検証不足。またノウハウと現場の余裕不足なども背景にある」と分析。デジタル技術導入のために必要な要素をまとめた、市独自の「パッケージプラン」の構築に着手した。
プランには▽業種ごとの改善業務▽それにあった介護機器と導入ノウハウ▽導入後の検証要素―の一連の流れを組み込む予定。技術の活用により、業務改善や人事改革など、現場の負担軽減と生産性向上も図る。
介護保険課は「デジタル導入による介護現場改善策の最初の一歩として、簡単に取り組める『藤沢市モデル』を目指す」と意気込む。
業界への波及期待
市は今年度、多種多様な介護現場において基本となる要素の抽出を図る「先進的介護実証事業」を開始。予算上限は165万円。
プロポーザル方式により、都内を拠点に介護施設運営と社会福祉システムの研究調査に取り組む「社会福祉法人善光会」をパートナー企業に選出した。
市内にある地域密着型小規模特別養護老人ホーム「みどりの園沼」(社会福祉法人八寿会)で実証事業を行い、業務調査を経て、秋には必要な機器を導入。効果検証を経て、モデルを構築するという。
善光会は「行政主導でパッケージプランに取り組む事例は全国的にも珍しい。業界全体に広まれば」と期待を寄せた。
|
|
<PR>
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>