藤沢市は来年度から下水道使用料の引き上げを検討している。下水道関連施設の老朽化や将来的な下水道使用料の減少などが課題となっており、市によるとこの先10年の赤字分を元に換算し平均約12・7%、市全体で1年間あたり約8億円の値上げを想定。官民連携事業なども視野に入れながら、コスト削減と経営の安定化を目指すとしている。
市が5日、藤沢市議会9月定例会の建設経済常任委員会で「ふじさわ下水道中期経営計画」の素案を示した。同計画は23年から10年間の具体的な事業・収支計画に位置付けられており、今後、9月下旬の市下水道運営審議会の答申を経て年内にも策定する。
22年度の年間下水道使用料63・4億円に対し、値上げ後の年間使用料は70・2億〜71・4億円ほど。値上げ幅は平均して約12・7%を見込む。
詳細の金額は未定だが、市下水道総務課によると、一般的な3〜4人家族の場合の平均下水道使用料はひと月2203円。値上げ後は月約300円、年間だと3600円程度増える見込み。
老朽化で修繕費増大
下水道事業は独立採算制が原則だが、市の試算によると、今後10年間全ての期間で収支見通しが赤字に。下水道施設の調査・修繕に伴う32年度の維持管理費が22年度比で15%増し、経費回収率も100%を下回ると見込んだ。
また施設の改築・更新に伴う建設改良費についても22年度に37・8億円から32年には108・5億円に増大。浸水や地震、環境対策などを含め、10年間で約736億円になると試算した。
改善案では、収入となる下水道使用料を値上げし、維持管理費面の純利益を黒字化。さらに利益の一部を建設改良費に補填することで収支均衡を図りたい考えだ。
官民連携事業視野に
下水道管の耐用年数基準は約50年とされる。国内で使用されている下水道管の多くは昭和末から平成初頭に敷かれており、県内では大和市が13年に値上げ、横浜市や小田原市などでも検討が進むなど、対策が喫緊の課題となっている。
市が17年に実施した老朽化リスク調査では、28年には設置50年を超える市内の下水道管は全長526Kmとなり、全体の約3割が耐用年数を迎えることが分かった。
市は下水道料金の改定のほか、経費削減策として点検や清掃など維持管理業務に関する官民連携事業の導入も進めている。業者への複数業務を一括して複数年で契約し、効率化やコスト削減を見込むとともに民間の技術力を活用したい考え。8月26日にサウンディング型市場調査を実施し、今年度内に第2回を開催予定。来年度からの開始を目標とする。
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