地域に演劇文化を根付かせようと公演を続けてきた「遊行かぶき」が26年の歴史に幕を閉じる。「さよなら記念講演」を月末に控え、脚本・演出の白石征さん(82)は、「ぜひ多くの人に観ていただき、演劇ならではの一期一会の感動を味わってほしい」と話す。
遊行かぶきを企画する演劇集団「遊行舎」は1995年に結成。当時、地域に根差した文化・芸能活動を行う市民団体「遊行フォーラム」のメンバーの一人だった白石さんが立ち上げた。
かつて劇作家・寺山修司の編集者で、没後は自ら演劇を手掛けていた白石さん。「藤沢独自の演劇を作ろうと考えた」と振り返る。
「生活に息づく演劇」も掲げた。演者やスタッフはプロではなく、主婦や学生など市民中心に集めた。会場も説経節と呼ばれる中世の芸能ジャンルにちなみ、遊行寺を選んだ。素人への指導や、劇場ではない会場の大変さもあったが、それ以上に地域性を重んじた。
その翌年、「遊行かぶき」第1回の公演を同寺本堂で実施。演目は「小栗判官と照手姫」。現世とあの世を超えて苦難を乗り越えて結ばれる愛の物語で、2人の墓が遊行寺にあることから選び、成功させた。
その後は質の高い演劇を定期的に披露し、チケット枚数にしてのべ5万から6万枚となる多くの人たちに演劇を届けた。市民まつりでの公演や2014年には遊行寺からより大きな市民シアターになるなど認知度を上げ、成長しながら公演を続けてきた。
そんな中での解散。「私も82歳。スタッフもみな高齢化して区切りをつけようと決めた」と白石さん。だが、成果もあった。「中世5大説経節を全て上演。台本と演出、演劇スタイルが完成した」。次世代に向けては「ぜひ、発掘して再構築してほしい」と願いを託した。
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最終公演の題目は原点の「小栗判官と照手姫」。9月30日から10月2日まで湘南台市民シアターで上演される。前売り券2800円。申し込み、詳細は同舎【電話】0466・34・9841。
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