お笑いと雅楽。一見何の関わりもない2つを組み合わせて一躍脚光を浴びた藤沢市出身のお笑い芸人がいる。先月25日、経済誌「Forbes JAPAN」の「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれた。お笑い芸人でありながらエンジニア、今春からは東京芸大邦楽科にも通い始めた。型破りなスタイルながら、新たな境地に挑戦する「カニササレアヤコ」さん(28)だ。
平安装束をまとい、雅楽器の笙(しょう)を携えた女性が雅な口調で語りだす。
「ものまねをします。十から下、下から乙への合竹の手移りの際、八の後うちを忘れてしまう、東儀秀樹」
ピン芸人の日本一を決める「R-1グランプリ2018」の決勝戦で披露したネタだ。
同誌の「世界を変える30歳未満の30人」はビジネス、スポーツ、科学、エンターテインメントなどの分野で次世代を牽引する人物を選ぶ。今年は今シーズン完全試合を達成したプロ野球の佐々木朗希選手らが選ばれた。
新林小学校、片瀬中学校、湘南高校を経て早稲田大学に進学。子どもの頃からお笑い好きで、中学校では文化祭で同級生と漫才を披露したり、高校では「お笑い研究会」を立ち上げたりもした。
早大に入学後、憧れだった有名サークルに入部。在学時から事務所に所属し、漫才やピン芸などでステージにあがったが、しっくりこない。そんなとき、思いついたのが大学1年のとき母が贈ってくれた「笙」だった。幼少から様々な楽器に触れ、音楽も好きだった。「ネタとして取り入れてみたらどうだろう」
これがウケた。「芸人はこうあるべきという先入観が性格に合っていなかった。自分のやり方を突き詰めようと思った」
卒業後は長くお笑いに携わろうと、エンジニアとして勤務しながら「二足のわらじ」で活動。R-1出場後はテレビ出演の機会も増えた。
20年から続くコロナ禍でステージに立つなど活動の機会は減ったが、ならば本格的に雅楽を学ぼうと今春、東京芸大音楽学部を受験。無事合格し、4月からは雅楽専攻科で学んでいる。
腰を据えて学ぶうち、雅楽だけでは生計を立てることが難しい業界の実情も知った。一方、東儀さんをはじめ、関係者の人たちが応援してくれる。そんな業界への感謝から、自らも貢献したいという気持ちが募った。
「雅楽の面白さを伝えて、携わる人口を増やしたい」。大好きなお笑いと雅楽のため、これからも自らの道をひた走るつもりだ。
話の終わり、芸名の由来について尋ねられるとこう言って笑った。「よく蚊にさされるので」
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