明治から昭和にかけ女性解放運動で活躍した評論家で作家の山川菊栄(1890-1980)の功績を今に伝えようと活動している山川菊栄記念会(樋浦敬子事務局長)が、山川の生誕132年、没後42年に合わせ、11月3日(木・祝)に藤沢市役所でドキュメンタリー映画を上映する。「現代に生きる山川菊栄の思想を知ってほしい」と来場を呼び掛けている。
月刊誌「婦人のこえ」創刊や『おんな二代の記』を執筆し、社会主義運動家の山川均の妻としても知られる山川菊栄。
藤沢市と縁深く、同会によると、1936年に現在の弥勒寺にあたる村岡村に居を移し、1980年に他界するまで約50年間暮らしたという。
山川菊栄記念会は、その思想と行動を後世に伝えようと没後翌年の1981年に発足。事務局長の樋浦さん(73)は生前の山川と対談した経験があり、「論調の鋭さ、頭の回転の速さとは一転、穏やかで明るいお人柄だった」と回顧する。
夫婦で「湘南うずら園」という農園を開き地域と交流を深め、暮らしを『わが住む村』に記した山川。樋浦さんは「山川は村岡を『桃源郷の趣をなす』と称している。山川の愛した藤沢の人にその存在をまずは知ってほしい」と話す。
今回上映する「姉妹よ、まずかく疑うことを習え―山川菊栄の思想と活動」は同会が企画した2011年の映画。「山川菊栄の語った思いは現在に通じるものが多い。男女問わず、生きづらさを感じている人たちの助けになるはず」と語る。
午前10時から正午。参加費500円。申し込み、問い合わせは同会【携帯電話】090・3088・2985。
女性の生きづらさに光
女性活躍の推進やSDGsの広まりの中で「現代に生きる思想」として再注目されている山川。活躍で特に知られるのは、明治期に平塚らいてうと与謝野晶子が起こした母性保護論争の中で訴えた「女性の自立解放には差別のない社会が必要」という主張だ。独自の持論は当時の人々を驚かせ、生きづらさを抱える女性の光になった。
同会は生前から山川を慕い集まっていた女性たちが発足。婦人問題を研究する奨励金を立ち上げ、息子の振作氏が著作や手紙などを寄贈したことを機に、当時江の島にあったかながわ女性センターに、女性問題の資料を多くまとめた「山川菊栄文庫」を開設した。文庫は県立図書館(横浜市)に移設されている。
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