新年の幕開けにあたり、本紙では鈴木恒夫藤沢市長に単独インタビューを実施した。新型コロナウイルスに関連する施策などを尋ねた前編に続き、後編では藤沢駅周辺の再整備事業やスポーツ振興、DX化、村岡新駅(仮称)設置に伴うまちづくりなどについて聞いた。(聞き手は本紙、佐藤弦也)
――藤沢駅周辺の再整備事業について。先頃、民間の商業ビル建て替えに関するガイドラインが示されました。
「藤沢駅周辺は昭和40年代後半に開発され、時代の経過とともに周辺施設の老朽化が進んでいます。一方、藤沢駅は鉄道3線が乗り入れる『湘南の玄関口』。相応しい空間とするため、市としても南北自由通路の拡幅や地下道の改修などを進めています。ガイドラインでは、基準に適合する計画については容積率の緩和や税制優遇などの支援を設け、商業機能を持つビルの建て替えを誘導していきます。今後南口広場の再整備も控えていますので、それらを見据えて運用する考えです」
――「スポーツ都市」を宣言して1年が経過しました。今後のスポーツ振興については。
「藤沢市は『健康寿命日本一』を目指しており、市民一人ひとりが身近にスポーツに親しめる環境づくりを進めています。例えば公民館や市民センター建て替えの際にはホールと体育館をそれぞれ分けて整備しています。誰もが親しめる環境ができれば、市民が打ち込む土壌が生まれる。青少年の健全育成や健康増進につながり、それがゆくゆくは健康寿命を伸ばすことにつながります。障害者スポーツを含め、今後も振興に取り組んでいきます」
――市の総合指針で「デジタル市役所」を掲げています。DX化の進捗と課題は。
「藤沢市では『デジタル推進室』を設け、DX化を推進しています。一昨年には民間から『DX戦略推進プロデューサー』2人を採用し、機運も高まっているところです。一方、市民に向けては高齢者の中には電子端末の操作が不得手な方も多く、デジタルデバイド(情報格差)対策が課題です。5日からキャッシュレス決済サービス『PayPay』を通じたポイント還元事業がスタートしましたが、スマートフォンの操作に関する説明会などを実施しながら着実に進めていきます」
村岡新駅(仮称)、人口構造変化
――JR東海道線の藤沢―大船間で2032年頃開業予定の「村岡新駅(仮称)」について。電車で5分程度の距離になぜ新駅が必要なのか、市民目線では実感しにくいという声もあります。
「新駅誘致は30年以上前から変遷を重ねてきた経緯があります。駅間の距離が短いなどのご意見もありますが、藤沢市にとって、あの場所に新駅ができることで東京方面からの新たな玄関口ができます。新駅設置については県、鎌倉市、JR東日本と覚書を締結しており、県が掲げる『ヘルスイノベーション拠点』と連携し、また『スマートシティ』などの取り組みは積極的に進めながら、研究開発の拠点として、戦略的に新たなまちづくりを進めていく場所だと考えています」
――藤沢市の人口は44万人を突破し、微増が続いていますが、少子高齢化の波が迫っています。将来的な人口構造の変化にはどう対応しますか。
「これまで単に人口を増やすのではなく、ファミリー層に照準を当てた施策を展開してきました。ただ、大局的な流れの中では、藤沢市も人口減が避けられない。そうした状況下で求められることは質の高い街を作っていくことに尽きます。例えば近くに子どもが遊びに行ける公園がある、藤沢の歴史風土を知る場所がある。市民に『住み続けたい』と実感してもらうことこそが藤沢の価値を高めることであり、子育て世帯を呼び込む好循環を生むことができる。そうした質の高いまちづくりを目指したい」
――44万人の市民に向けてメッセージを。
「コロナ禍という未曾有の事態の中、市民の皆様には自粛やワクチン接種などに一体となって協力いただきました。ともに災禍と立ち向かった経験が、これからのまちづくりに生きてくると思う。幸い藤沢市には活力があり、好材料もある。この流れを大事にしながら『湘南の元気都市』に向けて、皆さんと一緒にがんばっていきたいと思います」
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