75歳以上の後期高齢ドライバーの運転免許返納状況についてタウンニュース社がこのほど、県内33市町村を対象に調査したところ、藤沢市では2021年に自主返納したのは免許保有者の5・66%にあたる861人だったことが分かった。17・68人に1人が返納した計算で、県下12番目、県平均の5・87%を0・21ポイント下回る。また自治体間では最大4倍の地域差があることも明らかになった。
県警運転免許センターの統計をもとに独自集計した。
県下の返納者数は近年増加傾向にあり、東京・池袋で高齢ドライバーによる母子ら死傷事故が発生した2019年に過去5年では最多の4万6159人を記録。新型コロナウイルス禍の20年は4万3768人、21年は4万1593人で前年比減となったものの、4万人超で推移した。
藤沢市でも19年が2279人で最多。うち75歳以上が約4割にあたる861人だった。
最大で4倍
県内33市町村別に見ると、最も返納率が高いのは川崎市(7・42%)で、葉山町(7・16%)、鎌倉市(6・68%)、横浜市(6・60%)と続いた。最も低いのは箱根町(1・81%)で、地域差は最大で4倍だった。
最も返納率が高かった川崎市中原区(9・06%)の理由について、中原署は交通の利便性を要因にあげる。「鉄道6線が乗り入れていることに加え、バスの便数が多い。平坦な道も多く、返納しても不便と感じる人が比較的少ないのでは」と推測する。
一方、最も低かった箱根町を所管する小田原署は「集落が点在しており、都市部ほど交通手段が少ない」と山間部ならではの実情を説明。ただ「運転に不安がある人には安全運転相談専用ダイヤルを紹介するなどしているが、運転は生活と密接に結びついており、返納することが必ずしも是とは言えない」とし、一律の返納は求めていないとの考えを示した。
事故減も割合微増
県警によると、県内で原付バイク以上が起こした交通事故は17年の2万6230件から5年間で年々減少傾向し、21年には同年比24・9%減の1万9701件になった。ただ、75歳以上の高齢者が占める割合は6・4%から7・9%に年々微増しており、後期高齢者による交通事故対策が課題になっている。
20年末時点で、市内75歳以上の免許証保有者は1万5224人。県警では安全教育のほか、免許を返納すると割引サービスなどが受けられる「県高齢者運転免許自主返納サポート協議会」に加盟する企業の拡充を図り、自主返納を促している。
昨年5月から一定の違反歴のある75歳以上の人に、更新時の運転技能検査(実車試験)が義務付けられている。
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