このほど発足した「藤沢市就労移行・就労継続支援事業所等連絡会」の会長を務める 船山 敏一さん 大鋸在住 50歳
当事者に思いはせ
○…働きたくても、働けない。3年以上に及ぶコロナ禍は障害者の就労環境にも影を落とした。その反動か、藤沢の就労支援事業者が会した初のフェアには想定を上回る来場者が訪れ、盛況を博した。「こういう場所が求められていたんだ」。障害者就労のニーズを改めて実感させられた。
○…30年近く障害者の就労支援に携わってきた。行政や企業から相談を受けることも多いが、いまだ障害者雇用への理解は進んでいないと感じている。「なぜ作業効率が劣る障害者と自分が同じ給料なんだ」。実際ある官公庁で投げかけられた言葉だ。こう説いた。「あなたも明日、トラックにひかれて手足がなくなるかもしれない」。人は、いずれ同じ境遇になる高齢者にはシンパシーを抱きやすい。でも、障害となると無関係と捉えがちだ。だから暗に伝えた。誰だって当事者になり得る。そのとき助け合いが必要でしょう、と。
○…朗らかな笑みに理路整然とした口ぶり。今やその片鱗さえうかがえないが、曰く「学生時代は相当なワル」。荒れに荒れた高校1年のとき留年し、米国の高校へ編入。そこで人種の違いから謂(いわ)れのない差別を受けたことで目が覚めた。「立場の弱い人にこそ手を差し伸べなければ」。帰国後の3年間は生徒会長を務め、大学は現役合格。「あの一年間で人として生まれ変わった感じ」と頭をかく。
○…どんな人にもストーリーとヒストリーがある―。仕事で重んじる信条の一つだ。当事者一人ずつ、異なる背景がある。その人たちがどうしたら自分らしく生きることができるか。一緒になって心底考えることが障害福祉の本懐だと心得る。連絡会はいわば支援の担い手をつなぐ横串。その橋渡し役として、責務を全うするつもりだ。
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