藤沢市内で今、起業や新規事業の立ち上げを支援する「インキュベーション」が熱を帯びている。大学や財団法人、不動産会社など様々な主体がレンタルオフィスなどを通じた事業者育成に乗り出しており、施設間の連携も進む。新たな産業の卵を育て、市内で創業してもらうことで地域活性や将来的な収益につなげたい考えがあるようだ。地域発の産業創出へ、その前線に迫った。
起業後押し 会員間交流も
薄暗い照明にベロア生地の赤い椅子。壁にはウイスキーボトルが並び、店内にジャズが流れる。
午後7時過ぎ、店が開店すると次々と常連客が姿を見せた。男性客(54)の一人は「前半は本気だからね。お酒じゃなくウーロン茶で」。席に座るとそう言ってパソコンを取り出した。
昨年7月、藤沢駅南口の一角にオープンした「イノベーションスナックみらぼ」。南藤沢に事業所を置く不動産業の(株)セットがレンタルオフィス1階部分に開設した。
利用は会員制で、専用サイトでメンバー登録。席料は千円で飲み物や軽食を提供(有料)する。
特徴は、起業を助言できる中小企業診断士やさまざまな職種の先輩起業家が「ママ」としてカウンターに立つ点。有識者であるママが思考を整理する「壁打ち相手」になり、ニーズに応じて会員の起業家同士をつなげたりもする。
同社の別オフィスに入居するエンジニアの男性(48)は「考えがまとまらないときに利用している。専門職でも話し相手足る人を集めているのがすごいと思う」と話す。
先月26日には、ものづくり企業の代表を招いた座談会を企画。テーマは空中搬送用ロボットを活用した障害者就労についてだった。
事業説明が終わると、早速アイデアが飛び交った。「ゴルフ場の球拾いはどうか」「野菜の収穫を他の企業と協力してやってみては」―。突飛なものも否定することなく、発想をふくらませていく。すると、時折光明が生まれることも。
この日、ゲストで訪れたダブル技研(株)=座間市=の和田始竜専務(40)がメモを取る手を止めてうなずいた。「今のはびびっと来た気がする。早速会社に持ち帰りたい」
スナックという場を作った狙いについてセットの鈴木良隆さんはこう話す。「ここは職種を越えて『夢』を共有する場所。お酒も交えながら異業種の人とざっくばらんに話すことができる。同業種だと同じ方向を向きがちだが、新たな発想も生まれやすい」
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営業は火曜から土曜日の午後7時から11時(土曜10時)。詳しくは同店ホームページ【URL】https://snack-melabo.com/へ。
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