奥田公園の核兵器廃絶平和祈念像(平和の母子像)など市内のパブリックアートを手掛けた彫刻家・熊坂兌子(なおこ)さん(90)が=人物風土記で紹介=が先月28日、自身と亡き夫サール・シュワルツ氏が手掛けた美術作品29点を藤沢市に寄贈した。合わせて市文化振興基金へ800万円も寄付。熊坂さんは「市の所蔵する美術品の修復など、市民が美術品に触れられる機会に生かしてほしい」と語った。
寄贈したのは、熊坂さんの「立体的母子像」「ANCESTOR」などの大理石彫刻や版画、サール氏が手掛けた「FRACTURED RECTANGULAR」などブロンズ製の彫刻など計29点。文化芸術を未来につなげる事業に活用される「藤沢市文化振興基金」へは800万円を寄付した。
先月28日、藤沢市役所で寄贈式が行われ、熊坂さんは鈴木恒夫市長に目録を手渡した。鈴木市長は「文化振興への寄付と貴重な作品の寄付に感謝する。熊坂さんの作品はほっとする印象の素晴らしいもの。市民に親しみを持ってもらえるよう作品を活用したい」と述べた。
感謝状を受け取った熊坂さんは「藤沢に美術館はないが、アートスペースができ、若手作家の作品も生み出されている。市民がもっと美術品に触れ、市民自身が作品発表できる場を増やしてほしい」と訴え、「市が所蔵する多くの価値ある美術品を市民の目に触れられる機会が増え、後世に届くことを願う」と語った。
熊坂さんは7歳から藤沢市内で育ち、東京藝術大学在学中に彫刻を始めた。1970年まで藤沢高校で美術を指導し、その後単身渡米。彫刻家サール・シュワルツ氏との結婚を機に帰国し、朝日町に創作拠点を構えた。その後拠点を鎌倉とイタリア・ヴェローナに持ち夫婦で活動した。
大理石の持つ自然の風合を生かした作品を手掛け、奥田公園前広場「核兵器廃絶平和祈念像」、大庭城址公園「自然」など市内のパブリックアート作品を制作。藤沢高校跡地に美術館や博物館など文化施設建設を目指した「藤沢文化創造の丘をすすめる会」の代表として、2019年まで12年間署名活動なども実施していた。
市文化芸術課は寄贈作品について「今後、市民の皆さんにご覧いただけるよう準備を進めていく」と話した。
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