日展を中心に活動する彫刻家・桒山賀行(くわやまがこう)さん(75)=白旗在住=が先月28日、国の栄誉機関「日本芸術院」が芸術分野で顕著な業績があった人に贈る「令和4年度日本芸術院賞」(彫刻)に選出された。22年日展出品作「過ぎし日」の功績を受けての受賞。桒山さんは「大変光栄。受賞は『もっとがんばって』のメッセージだと思うので体力の続く限り作り続けたい」と喜びを語った。
「日本芸術院賞」は、1941年から戦中、戦後を除いて毎年授与されており、今回が79回目となる。6月に行われる授賞式には天皇皇后両陛下もご臨席される。各分野の優れた芸術家を優遇顕著する国の栄誉機関「日本芸術院」が推薦・選出を行う。今回同賞には桒山さんのほか小説家の小川洋子さんや工芸家、詩人など9人が選ばれている。
桒山さんが評価を受けた木彫「過ぎし日」は、生まれ育った愛知県常滑市で幼い頃に母親と見た田んぼのかかしと風景がモチーフ。当時の記憶を再構築し、昨春から半年間かけて完成させた。
材料は楠の木。高さ187cm、幅151cm、奥行94cmの木彫で、色付けした後一部を削るなど細部まで調整を重ねている。「実際に見た風景が20、30年後に形を変えて湧き上がってくる」。貫いてきたスタイルを変えず大作を仕上げた。
07年に日展「演者」で内閣総理大臣賞を受賞するなど精力的に活動し、藤沢市役所本庁舎1階にある「我が家のソクラテス」や、湘南大庭市民センター前の「春の詩」などパブリックアート作品も手掛けている。
視覚に障害のある人が作品に直接触れることで晴眼者(目の見える人)とともに鑑賞できる機会作りにも尽力。桒山さんが発案し、主宰するアマチュアグループ「土曜会」とともに行う「手で触れて見る彫刻展」を93年から開催し、昨年31回目を迎えた。
創作歴は50年以上。75歳の今もチェーンソーを振るい日々創作活動を続ける。「肉体、健康が資本。受賞の喜びを力に変えて続けていく」
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