昨年夏の最終打席を、今も忘れることはできない。緊張で震える手に握ったバットが残した鈍い感触。相手の三塁手が拾った打球は、無情にも一塁手ミットに吸い込まれた。自分で試合が終わったという悔しさは、何度も心を苦しめた。
あれから1年。雪辱の思いを込めた今年の夏は、キャプテンとして試合を迎える。
横浜旭陵・横浜緑園との合同チーム。昨年ともに戦った仲間たちと再び臨む大舞台に「チームとしての目標はまず1勝。そして個人としても夏の初ヒットを打ちたい」と瞳を輝かせる。強豪校ではない。でも、野球を好きな気持ちは同じ。あの日から振りぬいてきたバットは、鋭さを増す。
小学生では空手で鍛えた少年は、中学で野球に出会う。個人で戦う武道から9人で戦う団体競技に変わったが、「点が離れても徐々に追いついていく時のワクワク感。自分がチームの勝利に貢献しようという気持ちがたまらなく楽しい」と、一気にのめりこんだ。
高校2年の今、170cm57kgと決して体格に恵まれているわけではないが、武道で学んだ全身を使う技術は顧問の折り紙付き。ライナー性の強い打球が持ち味で、春の地区予選会では本塁打も記録した。
あの日の悔しさを力に変え、春の試合で成長の手ごたえをつかんだ。あとは本番で、全てをぶつける。「1年生たちには、大会を楽しみにしてほしい。そして昨年一緒に戦ったみんなと、今年こそ勝ちたい」。緊張よりも、今は試合開始が待ち遠しい。
|
|
<PR>
藤沢版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>