江戸時代から歌舞伎や人形浄瑠璃で庶民に親しまれた「小栗判官」に関する伝承資料が1日、藤沢市指定重要文化財に登録された。長生院(西富)の中庭と、小栗判官坐像や版木などの関係資料の計2件で、市指定では90件目になる。あす11月4日(土)には特別公開も予定されており、市郷土歴史課では「小栗判官の伝承は藤沢の歴史的発展を支えた。市民に広く知ってもらいたい」と話している。
小栗判官伝説のモデルになった小栗満重は、室町時代前期から中期にかけて常陸国(現在の茨城県)真壁郡小栗を支配した武将。神奈川県内をはじめ関東近郊で史実にちなんだ複数の伝説が残されている。
伝説は妻・照手姫の実家である横山家に殺された小栗判官がよみがえり、復讐する物語。遊行寺との関わりが深く、江戸時代には東海道道中案内記で藤沢宿といえば「小栗判官・照手姫伝説」が紹介されるなど、有名になった。
長生院は、遊行寺境内にあるかつての山内寺院。小栗判官の妻・照手姫が中興したとされており、中庭には小栗判官や照手姫、愛馬の鬼鹿毛(おにかげ)の墓と伝わる石造物群がある。
また中庭と合わせて指定された関連資料には小栗判官坐像をはじめ、「照手姫所持古鏡」「鬼鹿毛鐙(あぶみ)・轡(くつわ)」「小栗縁起刷り物版木」など計21件が一括で登録された。
市郷土歴史課では関連資料について「仏教美術というより歴史的資料として価値が高い」と説明。「小栗判官伝説が藤沢の歴史的な発展を支えた一面であることは間違いない。今回の指定を機に多くの人に知ってもらうきっかけになれば」と期待した。
指定を記念した特別公開は4日(土)午前10時から午後4時。会場は長生院本堂と中庭で観覧無料。当日直接会場へ。問い合わせは同課【電話】0466・27・0101。
浮世絵館で企画展
小栗判官伝説にちなんだ企画展「なぜか忠臣蔵 藤沢のヒーロー小栗判官と江戸歌舞伎」が11月14日(火)から辻堂神台の藤澤浮世絵館(ココテラス湘南7階)で始まる。
同展では忠臣蔵の魅力とともに藤沢と小栗判官のゆかりなどを浮世絵を通して紹介する。期間中は講演会「忠臣蔵の物語と小栗判官の世界」(11月19日)、学芸員によるみどころ解説(11月23日・12月10日)、浮世絵年賀状づくり(11月25日)もある。
12月17日(日)まで。入場無料(関連企画は定員あり)。開館は午前10時から午後7時。月曜休館。問い合わせは同館【電話】0466・33・0111。
「小栗判官・照手姫」劇に
横浜ボートシアターによる公演「新版 小栗判官・照手姫」=写真=が11月3日(金)と4日(土)、遊行寺本堂で開かれる。午後4時(4日は2時)開演。
説経節を基盤に独自の仮面劇と創作で21年間世界各国で上演してきた同シアターの代表作。劇団を結成した脚本家、故・遠藤啄郎さんの追悼公演で舞台美術家の堀尾幸男さんの監修で大幅リメイクした。「8人の演者が古語と仮面によって描き出す中世のファンタジー。聖地巡礼の祈りの世界を楽しんで」と同シアター。一般4千円、学生2千円(当日プラス500円)。
問い合わせは同劇団ホームぺージへ。
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