観光客が過度に集中することによる混雑やマナー違反といった「オーバーツーリズム」(観光公害)の問題解消に向け、国と藤沢、鎌倉両市はこのほど、協議会を発足させた。6日、初会合が藤沢市役所で開かれ、人気アニメゆかりの「聖地」や観光スポットでの現状などを共有。今後、来春の大型連休に向けて新たな未然防止や抑制策を検討するとしている。
国土交通省関東運輸局が主催し、会合には国、藤沢、鎌倉両市の観光担当、交通事業者など20人が出席した。
冒頭のあいさつで、関東運輸局の岡村清二観光部長はポストコロナの観光需要について「ピーク時の8割近くまで回復している」とする一方、「急速な回復に伴い一部地域では住民生活への影響のみならず、旅行者の満足度低下にもつながる懸念が生じている」と説明。問題の解消に向け、関係者間で課題の共有を図る必要性を示した。
鎌倉市は人気アニメ「スラムダンク」の影響で、江ノ島電鉄鎌倉高校前駅の踏切で観光客が写真撮影目的で車道に滞留したり、ごみを捨てる人がいることが問題になっていると説明。警備員を平日にも配置したり、インバウンド(訪日外国人観光客)のため多言語周知の看板を設置していることなどを報告した。
藤沢市は江の島大橋の慢性的な渋滞や、屋外エスカレーターの「江の島エスカー」やサムエル・コッキング苑で滞留が起きやすくなっていることなどを共有した。
10月に開催された観光立国推進閣僚会議ではオーバーツーリズム問題が最優先課題として議論され、2日に閣議決定された新たな経済対策でも問題の未然防止と抑制への取り組みが盛り込まれた。国は対策パッケージ案を策定し、関係自治体に対して総合的な支援を行う方針を示している。
協議会は今後、具体策を検討していく予定。岡村部長は会合後、「短期・中期・長期でスケジュールを組みながら早急に対応していきたい」と展望を語り、藤沢市の饗庭功経済部長は「地域住民がオーバーツーリズムでストレスを感じない形で観光振興につなげていきたい」と述べた。
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