東日本大震災から間もなく14年を迎える。全国で地震や豪雨など大規模災害が起きているが、発災時に最も身近に活動するのが「消防団」だ。地域防災の中核となる組織だが、全国的に団員不足が課題となっている。藤沢市内の現状を調べた。
普段は会社や商店などで生業を営み、ひとたび災害が発生した時には地域を守る消防団。ボランティアではなく非常勤特別職の地方公務員で、火災では初期消火にあたり、台風では地域を回って避難を呼び掛けるなど、市民に密着した防災組織だ。
市内には地域ごとに31分団があり、定数は504人。今年2月1日現在450人が所属し、充足率は89・3%となっている。市消防局警防課によると約90%は「近隣他市と比べ高い」という。
だが、充足率には地域差がある。北西部の御所見地区には6分団あるが、定数90人に対し団員は63人、充足率は70%だ。中でも宮原の28分団(定数15)では2021年5月からゼロの状態が続き、火災や災害時などは隣接する分団が活動を担う状況となっている。
北部方面担当副団長の伊澤孝次さんは「人を探しているが、なかなか確保できていない」と現状を語る。地域を知る人が団員となることで、がけ崩れや倒木の危険性のある場所などを把握でき、迅速な活動につながる。「地元のマンパワーが足りないと情報があがってこない」と危機感を募らせる。少しでも参加を促すため、夜に行われる定例会や訓練、機材整備などは日程や時間を配慮するなど対応しているが、「消防団の組織の仕組みから見直す時期に来ているのでは」と抜本的な改革の必要性も語る。
過去に分団長を務めた用田の保田芳雄さんは「地域への貢献やこだわりが希薄になっているところもある」とし、「訓練が足りないと火災現場では対応も難しい。消防団OBや、訓練に参加できない人でも活動できる救護隊などの形があってもよいのでは」と話す。
定年の無い消防団では、活動が10年を超える団員も多く、高齢化の影響も大きい。新たな団員の確保が喫緊の課題だ。
市消防局では、20年から団員の基本報酬を引き上げ、21年から学生消防団活動認証制度を開始。昨年は初めて大学の学園祭でブースを設けて消防団をPRした。同年12月には音楽に特化した機能別消防隊が発足。今後は、大規模災害時の消火や救助等に特化した機能別消防隊も検討しているという。同課では「役割が限定された機能別隊なら『参加できるかも』と感じてもらえる人も多いのでは。さまざまな形で団員不足を解消していきたい」と期待を寄せる。
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