ファミリー層の転入を背景に人口増が続く藤沢市で、小学校の教室不足が深刻化している。鵠洋小学校では新年度、当初想定した児童数を上回る可能性があり、図書室を普通教室に転用する方針を固めた。これに対し同小に通う児童の保護者らが市教育委員会を訪問し、存続を要望。「読書の機会だけでなく、子どもにとって大切な居場所。なくさないで」と訴えた。
児童増で普通教室に転用
市教委によると、同小の児童数は昨年5月1日時点で1202人。市内では辻堂小に次いで2番目に規模が大きい「マンモス校」だ。年々増加傾向にあり、昨年5月の児童推計では2024年度の学級数が36から38に増えると予測。視聴覚室を分割することで不足する教室を賄う予定だった。
ところが昨夏以降、1年生の転入が急増し、39学級になる可能性が浮上。校内にはプレハブ校舎3棟(8教室)を増設し、すでに図工室も普通教室として転用しているため「苦渋の判断」(同小)で図書室を転用することにした。実施した場合、図書室の機能は校内の共用スペースに移すとしているが、規模が縮小し、授業での利用ができなくなるという。
市は老朽化した学校施設の再整備を進めており、同小も対象校。整備後は特別教室を戻す予定だが、段階的に実施するため、建て替えまで「5年以上かかる」という。
この日、3月の学校だよりで図書室の廃止を知った保護者ら8人が市教委に説明を求めた。保護者の一人は4年生の娘がクラスメイトとともに校長に宛てた手紙を持参し、「なくなるのが悲しい、図書室がいかに好きだったかと訴えている」と子どもの心境を説明。「藤沢市は子育てがしやすい街を掲げているのに見通しの甘さで子どもたちが不利益を被るのはおかしい。5年後ではなく今何とかしてほしい」と切実な思いを届けた。
市は同小を含む5校を31学級以上の「過大規模校」とし、24年度から学区の見直しに着手。希望者を募り、児童数の平準化を図るとしている。市教育総務課は保護者の訴えを受け、「子どもの視点に立ったご意見で重く受け止めている。課題解決に向けて着手できるところから取り組みたい」とコメントした。
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