能登半島地震で広範囲にわたる断水により避難所などでトイレが使用できなくなった問題を受け、タウンニュース社では県下33市町村を対象に災害時トイレの備えについて尋ねるアンケート調査を実施した。トイレの種類や備蓄状況、その根拠などが自治体ごとに異なるほか、運用に関する独自ガイドラインを設けているのは5自治体にとどまることが明らかになった。
アンケートは2月26日から3月6日に実施し、災害トイレの備蓄や種別、避難者想定、市町村独自のガイドラインの有無などについて尋ねた。
ガイドラインについて「ある」と答えたのは横浜、小田原、松田、開成、箱根の2市3町のみ。藤沢市では災害時トイレの運用や初動体制を定めた個別計画について「必要性は認識している。時期は未定だが、今後検討していく」としている。
内閣府では「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を示しているが、「仮設」「簡易」「携帯」「マンホールトイレ」の種別ごとの備蓄は自治体ごとに異なる。藤沢市では携帯(トイレ処理袋)が約12万5千個、仮設トイレ組立式が536基、地下埋設型貯留式が439基、マンホールトイレが89基と回答した。
備蓄の根拠も地震想定調査や地域防災計画など自治体ごとに分かれており、藤沢市では2014年度の「県地震被害調査」に基づき大正型関東地震を想定。自宅に帰れない避難者は約17万7千人を目安に国の支援が始まるとされる「3日間」のトイレを確保している。
断水時も使用可能
市では従来の備蓄に加え、断水時も使用できるトイレの整備を進める。21年に移転開設した辻堂市民センターでは雨水や井戸水をくみ上げて貯留。建物と下水管が耐震化されており、地震発生時でも水洗で利用できる。現在改修中の鵠南小学校でも同様の整備を進めるほか、下水道に直結できるマンホールトイレ5基を新設するという。
マンホールトイレは災害時の有効手段として注目を集めるが、市の下水道の耐震化率は約15%にとどまる。市では段階的な整備と並行しながら、「マンホールトイレも必要に応じて増やしていく」としている。
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