「湘南男声合唱団」の会長を務める 斎藤 光昭さん 花の木在住 79歳
仲間に恵まれて
○…高音と低音がとけ合い、透明感のある和声が空間を満たしていく。調和による心地良い浮遊感。合唱で得られる醍醐味の一つだ。平成元年に産声を上げた合唱団も早35年となり、団員の歌声も円熟味を増している。「磨き上げたハーモニーがうちの良さ。多くの人に楽しんでもらいたい」と12年ぶりの単独公演を前に自信をのぞかせる。
○…山形県酒田市の出身。高校を卒業し、藤沢にある自動車部品の製造工場に勤めた。合唱を始めたのは「友人にだまされて」と笑う。よく分からず連れていかれた先は、藤沢を拠点にする合唱団の練習場。そこで合唱指揮者の故・関屋晋氏と出会い、奥深さに触れた。以来約60年、転勤しても練習とステージに立ち続けてきた。「合唱がなかったら」の問いに「どうなっていたんだろうね」と言うほど、今や人生とともにある。
○…この数年、団の存続が危ぶまれる局面もあった。4年前の演奏会は新型コロナ禍の影響で中止に。飛沫感染や3密防止の観点から人前で歌うことがはばかられ、練習する場所さえ失った。そこに発足時から指導を仰いだ伊集院俊光氏が急逝。現在平均78歳という団員の高齢化も重なり、行き場を見失いかけた。そんな団が息を吹き返したのは「(現指揮者の)白井先生のおかげ。指導が的確で練習ごとに高みに上がっていく感覚がある」と36歳の若き指揮者への敬意が口をつく。
○…パートはテノール。「元々はバリトンなんだけど編成の都合で。高音を出すのが大変」と苦労話も笑い飛ばす。合唱は楽しい。今改めてそう思う。曲を覚え世界が広がっていく。何より、苦楽を共にする仲間がいる。夏には傘寿になるが、高齢なんて何のその。歌い、人前に立てば10年後もきっと元気だ。
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