干潮時に江の島と対岸の片瀬海岸が地続きになる自然現象「トンボロ」。普段は橋を渡らないと行けない江の島だが、海の中から現れる砂の道を歩いて同島に上陸できるチャンスが5月11日にあり、行ってみた。
国道134号から片瀬海岸東浜に降りる。砂交じりの潮風を全身に浴びながら、人の姿が点々と連なる江の島を目指す。
大勢の親子連れが、かがみ込んでいた。「おっきいのがいる」と男の子が叫ぶ。カニを手にして大喜びだ。岩がゴロゴロしたところに潮だまりが出来ていて、海の生き物の観察スポットになっていた。貝殻集めに夢中になる子たちも。
海が左右に割れたかのようにできた砂地の道には、潮が引くときに作った紋様が見てとれた。人の手では描けない自然の美の不思議さ。いつもは海に浸かっている江の島大橋の橋脚が完全に現れ、柱と柱の間から眺める富士山もまた一興だ。
この日は江の島北緑地広場そばの護岸に市観光協会が設置した仮設階段があり、島へ上がることができた。臨時看板の前には人だかり。二次元コードにスマートフォンをかざすと、デジタル版の上陸記念証が表示され、大人たちもうれしそう。市内から訪れた50代の夫妻は「昨年も渡ったが、珍しい地形を歩く体験ができる機会なのでまた来たい」と話した。
トンボロは気象条件などによって必ず見られるわけではないが、潮位が約20cmよりも低くなるときに現れるという。今年は4月から9月初めまで65日間の出現が予測されている。
予測日程と干潮時刻は同協会のホームページに掲載。仮設階段は5月26日(日)、6月9日(日)と22日(土)にも設置される予定で、午前10時頃(6月22日は午前9時半頃)から午後2時頃まで。デジタル版記念証も発行する。雨天中止。
市観光協会によると、5月10日と11日の2日間で約5300人が仮設階段を利用したという。
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