善行公民館を拠点に長年生涯学習活動を実施している市民団体「善行雑学大学」(片岡信弘代表理事=人物風土記で紹介)が今年、発足から25周年を迎えた。19日には南藤沢の湘南鎌倉クリスタルホテルで300回目となる記念講座を開催。手作りで続けてきた地域の学び舎は、高齢化社会における生涯学習のモデルとも言える場となった。
会場に集まった約140人が真剣な表情で講義に聴き入った。この日は「足利尊氏の生涯」をテーマに鎌倉考古学研究所理事の伊藤一美さんが講師を務めた。
同大学は1999年6月に開講。初代代表を務めた故・宮田英夫さんが退職後、当時都内で先例のあった雑学大学を知り、仲間6人と会を発足させたのが始まりだ。
掲げる理念は「地域に根付いた住民による、住民のための、住民の大学」。毎回メンバーがテーマを設定し、人脈を生かして大学講師や技術者、市民活動家などの講師を招き、毎月講座を開いてきた。人生経験豊かな会員自らが登壇したりもする。
学びの裾野広く
徹底して費用をかけず、参加者負担は資料代のみ。生涯学習の裾野を広げる趣旨に賛同した講師が手弁当で協力する。第1回の「おもしろトイレ学」を皮切りに歴史や政治、自然科学など専門的な内容から、釣りやゴルフなど趣味の領域まで多彩な講座が人気を博してきた。
現在会員は120人。2014年には神奈川地域社会事業賞、17年には県の「かながわボランタリー活動奨励賞」も受賞した。
新型コロナ禍を除いて休むことなく講座を続けてきたが、22年に宮田さんが病気のため88歳で他界。元東海大学教授の片岡さんが代表を引き継ぎ、組織体制を一新して再出発した。
地域社会の高齢化が進み、生涯学習のニーズも高まる。片岡さんは今後に向け「講師や理事をはじめ、色々な方の協力があって今があると思う。生涯学習の場を地域の財産としてつなげていきたい」と話した。
開催は毎月第3日曜日。年会費3600円、一般も資料代500円で講座を聴講できる。入会や申し込みなど詳しくは同大学のホームページへ。
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